穴だらけの水際対策に記者もあぜん

 再び事情を説明すると、「アプリの担当は厚労省になるので、そちらに連絡してください」と最初は突っぱねられた。「その厚労省に電話して、こちらの担当だと言われたので連絡をしています。電話番号も厚労省で聞きました」と伝えると、今度はこんな回答だった。

 「健康状態に問題がなかったんですよね? なら大丈夫です」

 「真面目に自主隔離をしたので確かに大丈夫といえば大丈夫なんですが、何も連絡がなかったので不安です。海外からの渡航者をこうして放置するのも問題ではないかと思うのですが」

 そこまで言うと、「確かに」との返事。「居場所の報告義務を果たさなかったと後で責められても困るので、確認していただけませんか?」とお願いすると、氏名と渡航日を聞かれ、最終的に登録されていたメールアドレスが間違っていたことが判明した。

女性担当者「記入されたメールアドレスが間違っていたのですね」

筆者「ハイフンとアンダーバーがややこしいアドレスなので、空港で送信確認の時にきちんと正しい情報をお伝えし、そこでメールも受信しています。メールを登録するのは、その確認したメールアドレスではなく、手書きからまた再入力しているのではないですか? そうでもない限り間違えることはないと思うのですが」

女性担当者「でも健康状態に問題がなかったのなら大丈夫です」

筆者「でもそれだと意味が……」

女性担当者「上司に確認しますので少しお待ちください」

 結局、上司に確認しても、健康状態に問題がなかったのでいいとの結論だった。今回は登録時の問題だったようだが、その後の運営で「おかしい」と気づかなかったのだろうか。

 縦割りの弊害──。新型コロナという人の命を脅かす恐ろしいウイルスの水際対策でも、日本でありがちなこの弊害が再び顔を出した。

東京五輪・パラリンピックの開催予定日は近付いているが、国民の不安は消えない
東京五輪・パラリンピックの開催予定日は近付いているが、国民の不安は消えない

 5月13日、勤務医で構成する「全国医師ユニオン」は東京五輪・パラリンピックの中止を政府に求める要請書を提出した。国内でウイルスの変異株が広がれば「100年にわたって東京オリンピック型と言われかねない」と植山直人代表。

 開催まで約2カ月に迫るタイミングだというのに、水際対策も穴だらけ。このままで本当に大丈夫なのだろうか。植山代表の懸念が現実にならないように対策を洗練させる必要がありそうだ。

この記事はシリーズ「池松由香のニューヨーク発直行便」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。