日本政府が5月中に東京や大阪にも設置する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場では、米モデルナ製のワクチンが提供される見通しになった。

 米国では2020年12月から提供が始まり、米ファイザー製、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製と並んで一般に普及している。

 ニューヨークでも同月からファイザーとモデルナのワクチンの提供が始まり、後発のJ&Jに比べて圧倒的に提供数が多い。当初は医療従事者や介護施設入居者などに限定されていた接種対象者も徐々に拡大され、3月30日に30歳以上、翌週の4月6日に16歳以上に解禁されてからは一気に接種者が増えた。4月27日時点でニューヨーク州の人口の31.9%に当たる636万人が接種を完了している。

 そんな中、人々の間で話題になっているのが製造元による「副作用の違い」だ。特にモデルナ製は、ある特徴があることで知られる。

モデルナのワクチン接種を受けるペンシルバニア州のトム・ウルフ知事(写真:AP/アフロ)
モデルナのワクチン接種を受けるペンシルバニア州のトム・ウルフ知事(写真:AP/アフロ)

 「『モデルナ・アーム(モデルナの腕)』って知ってる?」

 ニューヨーク市在住の中国系米国人女性の知人にこう聞かれ、初めてその存在を知った。

 同市では大手製薬会社であるファイザー製の人気が高いが、会場によって提供されているワクチンが異なるため、近隣にある利便性からモデルナ製を選ぶ人もいる。

 筆者の周囲にモデルナ製を受けた人はいなかったので知らなかったが、モデルナ製を接種した人の多くは注射を打った部分が赤く腫れ、かゆくなったり痛みが出たりするのが数日間、続くという。しかもその症状が出るのが接種から5~9日後と遅い場合があるという。

 この知人の親友の女性がモデルナ製を接種し、この症状が出た。赤く腫れたのがずっと引かず肌に痕が残ったらどうしようと、美容関係の仕事をしている知人に相談してきたようだ。

 ちなみに筆者はJ&J製(米疾病対策センターと米食品医薬品局が接種の一時停止を勧告する前だった。4月23日に再開が許可された)を、この知人はファイザー製を接種していたが、2人ともこうした症状は見られなかった。

 「赤くなったのが何日も治らないし痛い。そのまま赤いのが消えなかったらどうしよう」

 こう相談された知人は「大丈夫よ」と受け答えたものの、念のため看護師の知人男性に確認したという。

 すると、こんな答えが返ってきた。

 「ああ、モデルナ・アームね。モデルナを接種した人の多くは腕が赤くなるから、医療従事者はこう呼んでいるんだ。ものすごく一般的だし、数日間で治るから心配ない」

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