墓地不足の中で注目される「島」

 現在、新たな問題として注目が集まっているのが、墓地不足の問題だ。

 「市のシステムは崩壊間近だ。近いうちに臨時の埋葬場所が必要になるだろう」

 4月6日、ニューヨーク市議会保健委員会のマーク・レヴィン氏が、ツイッターにこんな書き込みをして話題になった。これを受け、ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は「必要になれば用意する」とし、「場所は歴史的に見てもハートアイランドになるだろう」と説明した。

 ハートアイランドは、ニューヨーク市ブロンクス地区の北東部にある島で、150年前から、引き取り手がいなかったり家族に埋葬する資金がなかったりする遺体を埋葬する「公共墓地」となっている。既に100万人以上が埋葬されているという。

 4月10日、そのハートアイランドに新型コロナで亡くなった遺体が埋葬される様子が報道された(下の写真)。平時は週に25体のところ、現在は1日に24体が埋葬されているという。この場所が臨時墓地にも使われる可能性が出てきた。

 
4月9日に撮影されたハートアイランドでの埋葬の様子(写真:AP/アフロ)
4月9日に撮影されたハートアイランドでの埋葬の様子(写真:AP/アフロ)

 新規の入院患者数がピークを越えたと見られるニューヨーク。近く死者数も減少傾向に転じると見られるが、減っているのはあくまで「1日当たりの人数」だ。今も総数は、目を覆いたくなるペースで増え続けている。

 最後にラノッテ氏に「日本に届けたいメッセージはありますか」と聞いた。すると、こんな答えが返ってきた。

 「もしまだ『若ければ感染しない』と思っている人がいるなら、それは完全に間違いです」

 「私たちはこれまでたくさんの若い人たちが新型コロナに感染し、具合が悪くなり、亡くなっているのを見てきました。自分は大丈夫でも、感染しているのに気づかず両親や祖父母と接触し、うつしてしまったという若者も多くいます」

 「家族を守るためにも、外出はせず、社会的距離を取ることを徹底してほしいと思います」

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この記事はシリーズ「池松由香のニューヨーク発直行便」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。