ニューヨーク州で導入されたスマートフォンのアプリ「エクセルシオール・パス」では、ワクチン接種者にはQRコードが付与される
ニューヨーク州で導入されたスマートフォンのアプリ「エクセルシオール・パス」では、ワクチン接種者にはQRコードが付与される

 今、ニューヨーカーたちのもっぱらの話題は新型コロナウイルスのワクチン接種の「アポ取り合戦」だ。同州では3月30日、対象者を50歳以上から30歳以上に広げたことで州の予約サイトが一時、パンク状態に陥った。

 筆者も31日から予約を試みた。誕生日と性別、郵便番号に相当するジップコードなどを入力すると、州が設置した近隣の接種会場のリストが出てくる。会場によって接種できるワクチンがファイザー製だったりジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製だったりするので、そこを勘案しながら選ぶのがポイントだ。筆者は接種が1回で済むJ&J製を第1希望、予約が取れなければファイザー製と心に決めて「合戦」に参加した。

 ちなみに州ではなくニューヨーク市が設置する会場では2社に加えてモデルナ製も提供されている。ほかに「CVS」や「デュエイン・リード」といったドラッグストア・チェーン、「MedRite」といったかかりつけ医チェーンでも接種できるが、こうした民間企業のサイトを見ても市内はすでに予約がいっぱいで取れる気配は全くなかった。また料金はどこの会場でもすべて無料、基本的に在住者であれば誰でも受けられる。

 筆者の最寄り会場は、国際自動車ショーの開催場所としても知られるジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターだった。J&J製はもともと人気が高いうえ、同社の生産委託先で数週間前に材料混合ミスが発生していたことから供給が想定よりも逼迫していた。このためJ&J製を提供する会場がニューヨーク市内ではほとんどなかったのだが、同センターでは珍しくファイザー製とJ&J製の両方が提供されていた。

 「ラッキー! よっしゃ、頑張るぞ」

 31日の昼頃からパソコンに向かい、州の予約サイトにアクセスしてジップコードを入力し、出てきたリストの中から「ジャビッツ・センターでのJ&J」を選んだ。すると、「予約の空きはありません」の文字が……。何度やっても同じなので、次に第2希望の「ジャビッツ・センターでのファイザー」を選んだ。

 すると、J&Jとは全く異なった画面が出てきて、チェックボックスの隣に「私はロボットではありません」の文字が表示された。これ、筆者はどうしてだか分からないのだが、最初の数回はチェックボックスをクリックするだけで先に進めても、何回か繰り返すと「この絵の中からクルマを選んでください」「信号機を選んでください」といったクイズ(?)を出題されるようになる。皆さんもきっと、この作業をやったことがあるのではないだろうか。この作業が、はやる気持ちをさらにはやらせる。

 最初の関門をクリアすると、会場で空きのある日程が表示される。問題は、この日程の内容がクリックするたびに変わることだ。ある時は数日後の日程が表示されるのに、その数秒後は「空きがありません」と出る。またある時は1カ月後くらいのリストがずらりと並ぶのに、またその数秒後には数枠しか表れない……。筆者は4月初旬での接種を希望していたため、とりあえず5月の枠は無視して、ひたすら4月初旬枠を狙った。何度も何度も、手が疲れるほどにクルマや信号機の写真を選んで関門を超え、数十回に1度くらいの割合で4月初旬の枠が表示されて喜び勇んでクリックしても、すでに誰かに取られたのか「空きがありません」と出てしまうのだ。

 この作業を数十分間繰り返し、いいかげんにクルマも信号機も、消火栓も横断歩道(というのも多かった)も見たくなくなると、ファイザーのページはいったん離れてJ&Jに変更した。J&Jのほうは一向にリストすら表示されないのだが、ごくまれに、4月初旬の日程が1つか2つ表示されることがあった。その貴重なチャンスに恵まれて日程をクリックしても、次のページで時間が表示されるべき欄に枠が一つも無く、先に進めないという状況が続いた。またこれに飽きるとファイザーに戻って……という作業を1時間程度、時間帯を変えて夕方や夜中にも挑戦したが、初日と翌日は不発に終わった。

 4月2日の朝、まずは第1希望のJ&Jにアクセスすると、数回目で4月11日の枠が表示された。「またきっと時間枠がないんだろうな」とあきらめがちにクリックしたところ、なんと時間枠がズラリと表示され、そのうちの一つをクリックしたら先に進めた。ここからは過去の病歴や保険の有無、新型コロナのワクチンを受けたことがあるかどうかなど、基本情報を質問に答える形で入力していけばいい。「いやいや、まだ安心してはダメだ」。30分以内に完了する必要があったものの、ことのほか慎重に、じっくりと歩を進めた。

 すべての質問に答え終わると、入力情報の確認画面の後に「予約確認」の画面が表れた。ここまで来れば安心できる。思わず大人げもなく「やったー!」と両手を突き上げて喜んでしまった。

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