「911に電話控えて」、テレビ局が異例の呼びかけ

 既に医療インフラは崩壊に近い状態にある。3月27日午後3時過ぎ、米テレビ局MSNBCはニューヨーク市民に対して「911に電話をするのは呼吸または心臓に問題がある人だけにしてほしい」と異例の呼びかけをした。911は警察や消防に緊急時にかける電話番号で、この時、既に170人が電話をかけてホールドしている状態にあったという。

 アナウンサーは「スタジオにいてこれほど頻繁に救急車のサイレンを聞いたことがない」と驚きの表情を浮かべた。何もかもが未曽有の事態だ。

 第2段階では、新型コロナ対策で閉鎖したホテルや学校などを病院に転換していく。計画実行に向けてクオモ知事がホテルオーナーなどと交渉を進めている。

 こうした計画が進む一方、医療従事者は悲鳴を上げている。3月28日には市内ブロンクスにあるジャコビ病院の緊急治療室のスタッフ数十人が、同病院の前でマスクやガウンなどの防護具が不足していることに対して抗議した。

 医療従事者の死者も出てきた。26日にはマンハッタンのマウントサイナイ・ウエスト病院に勤務していた看護師のカイアス・ケリー氏が新型コロナ感染症で死亡した。18日に陽性と診断され、ICUで人工呼吸器につながれた状態で兄弟に向け、こんな連絡をしたという。

 「声は出せないのでテキストメッセージを送る。自分は大丈夫だから両親には言わないで。心配するから」

 これが彼の最後のメッセージとなった。

 ニューヨーク州や市の計画がうまく機能するかは分からない。もしかしたら、社会的距離(social distance)の徹底で想定よりも感染者の増加を抑えられ、6万もの病床は必要なくなるかもしれない。誰にも将来は予測できないからこそ、最悪の事態を想定して準備を進めるしかない。

 感染の爆発から惨状に至るまでのスピードは本当に速い。ほんの1~2日で街の様子も人々の生活も一変する。日本がニューヨークと同じ轍(てつ)を踏まないためにも、今後もニューヨークの現状を可能な限りリアルタイムでお伝えしていく。

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この記事はシリーズ「池松由香のニューヨーク発直行便」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。