ジョー・バイデン米大統領が3月26日に訪問先のポーランド・ワルシャワで実施した演説での「アドリブ発言」が世界に波紋を投げかけている。具体的には、ロシアのプーチン大統領について「For God’s sake, this man cannot remain in power(全くもって、この男が権力の座に居続けることなどできない)」と発言。米ワシントンポストの同日付記事によると、この「9ワード」は予定していた演説にはなくバイデン氏のアドリブだった。

 これを受け3月27日、フランスのマクロン大統領はテレビ放映された会見で「私ならそのような言葉使いはしなかった」とし、さらに「我々が(戦闘ではなく)交渉での解決を望むなら、行動においても発言においてもエスカレートさせるべきではない」と批判した。

 世界最大の原油生産国である米国は欧州に比べてロシアへのエネルギー依存度が低いため、より強硬なロシアへの経済制裁を望む傾向にある。バイデン氏は、ロシア大手銀行の国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除に加え、3月8日、ロシア産原油や天然ガスなどの輸入を全面的に禁止する追加制裁を発表。米調査会社ピュー・リサーチ・センターが同月15日発表した世論調査によると、米国民の9割近くがこうした経済制裁を支持している。

 一方で、バイデン氏の支持率は低迷を続けている。英調査会社ユーガブによると、2021年8月に「不支持」が「支持」を上回ると、ウクライナ危機後もその差はさほど縮まっていない。22年3月16日時点での支持率は44.9%、不支持率は49.7%だ。ワルシャワでの「強気発言」は、ロシアへの強い姿勢を国民が支持している点を意識したと考えられるが、欧州の同盟国の反感を買っては元も子もない。なかなか国内をまとめられないバイデン氏の焦りもにじむ。

(写真:AP/アフロ)
(写真:AP/アフロ)
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 なぜ米国民はロシアに対して強い姿勢を貫く自国のリーダーにノーを突きつけるのか。その背景にはロシアのプーチン大統領が長い歳月をかけて仕組んだ「計画」がある。

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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。