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ニューヨークを直撃した新型コロナウイルス感染の恐怖。互いに「安全に(Stay safe)!」「前向きで(Stay positive)!」などと声を掛け合うのが普通になった(写真:AP/アフロ)

 「リセッション(景気後退期)はどれほど大きくなるのか」──。米メディアや識者たちの論調が一気に変化した。数日前までは「果たしてリセッションは本当に来るのか?」だった。

 米政府はあの手この手で乱高下を続ける市場をなだめようと躍起になっている。ドナルド・トランプ米大統領は2020年3月13日、前回の記事で取り上げたスタッフォード法に基づく「国家非常事態」を宣言(前回の記事では「緊急宣言」としていた)。最大500億ドルの緊急財源を使って新型コロナウイルス感染症の検査拡大や感染防止策を展開することを表明した。

 民主党トップのナンシー・ペロシ下院議長はトランプ大統領が意欲を示していた給与税免除を柱とする経済政策に対して「大統領選に向けたアピールだ」などと反対していたが、非常事態宣言の直前に一転して協力の意向を明らかにした。

 そして15日には、米連邦準備理事会(FRB)が3日に続く緊急利下げに踏み切った。前回は0.5%だったが今回は一気に1%下げ、0~0.25%とした。日曜日に利下げを実施するのも珍しいが、同日、FRBは異例の電話会見まで開いた。ジェローム・パウエル議長は「(前回のリーマン・ショック時と異なり)銀行はまだ余力がある」としながらも、「困難を乗り越えるために我々が使えるツールは何でも使う」と意欲を示した。

 だが、15日の発表の直後に米ダウ先物は急落。政府や中央銀行のなりふり構わない姿勢が逆に「これから来る景気後退の予兆ではないか?」と市場に受け取られた。

 景気後退への現実味が増したのは、新型コロナウイルスの脅威が米国内で急速に高まり、封じ込めのための学校閉鎖、レストランや小売店、工場などの休業が全米に広がっていくことがほぼ間違いないからだ。

 ニューヨークでも15日、ビル・デブラシオ市長が公立学校の閉鎖と、レストランやバー、カフェのテークアウトまたはデリバリー以外の食品提供の禁止を発表した。社員に在宅勤務を命じる企業も時間を追うごとに増えている。そのためか15日は、買い物用のカートを持って食品の買い出しに向かう人たちが多く見られた。