こうした米国流の情報発信を見ていると、「やるべきことさえやっていれば大丈夫。楽しく危機を乗り越えよう」という気分になってくる。

老婦人が大量の食料を買い込むワケ

 現時点では、ニューヨーカーたちの受け止め方も冷静なように見受けられる。

 手を清潔に保つには20秒以上の手洗いが最も効果的というが、やはり外出先ですぐに使える除菌ジェルは便利だ。だが、店頭にはもうない。ならば、とネットに出始めたのは「自分で除菌ジェルを作る方法」という情報だ(記事の例)。アルコールやジェル、オイルなどを混ぜれば簡単に作れるという。

 専門家によると、アルコール成分の割合が60~70%を超えていれば除菌できる。なので、筆者は「いざとなったらウオッカなどの強いお酒を使えばいいか」と考えている。手の除菌は除菌グッズがなくてもできる。そう考えたら物資がなくてもパニックになる必要もない。

 また3日夜、自宅近くの小さな食料品店で大量の食料を買い込む老婦人を見かけた。店舗のショッピングカートがいっぱいになるほどの食品を買い、店員に自宅まで運んでもらっていた。一部、こうして大量に物を買い込む人を見かけるが、これは店頭から商品が無くなることをおそれての行動ではない(実際、除菌グッズ以外は欠品していない)。「self-quarantine」の準備をするためだ。

 quarantineは辞書では「検疫」とあるが、どちらかというと「隔離」に近いと思う。自身が感染したとき、誰にも会わずに自宅で14日間、待機するためには生活必需品の在庫がいる。感染後に誰かに物資を運んでもらえば、それが拡散の原因になるからだ。ニューヨーク・タイムズの記事にもあったように、一定量の生活必需品の確保が推奨されているのはこのため。ここが日本の買い込みと異なる点のように映る。

 先ほどのLate Showのホストが言っていたが、20秒間の手洗いをするときは「ハッピーバースデー」の歌を2回、歌うとちょうどいいそうだ。筆者も外から自宅に戻ってきた時には、鼻歌を歌いながら20秒間の手洗いを実践している。どうせやってくる危機なら、できるだけ楽しく明るく、隣人たちと力を合わせながら乗り越えていきたいものだ。

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この記事はシリーズ「池松由香のニューヨーク発直行便」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。