米アップルが開発中のEV(電気自動車)、通称「アップルカー」に関する詳細情報が徐々に明らかになってきた。

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 同社の協力会社に精通し、アップルの未発表案件を高い確率で言い当てることで知られる香港・TFインターナショナル・セキュリティーズの郭明錤氏は2月2日、アップルカーの組み立てなどを担当する協力会社の名前をリポートで明かした。

 これによると、アップルカーで採用する車体は韓国・現代自動車のEV共通プラットフォーム「E-GMP」で、現代はアップルに技術支援もする見通しだ。ちなみに同社は2020年12月にアップルと提携の可能性が報じられ、今年1月初旬に認めたがその後、撤回している。

 また一部部品の設計と生産は韓国部品メーカーの現代モービスに委託し、米国の完成車生産ラインは韓国・起亜が提供するとみられている。起亜については米CNBCが3日、「ジョージア州ウエストポイントの組立工場で生産する方向で交渉が成立間近」と報じた。

起亜はアップルカーの米国の生産ラインを任される可能性がある(写真:AP/アフロ)

他市場や他車種の生産では欧米メーカーの名

 さらに郭氏は、米国以外の市場あるいはその他の車種では、米ゼネラル・モーターズ(GM)と欧州ステランティス(旧仏グループPSAと欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ=FCA)に協力を仰ぐ可能性が高いと予想した。FCAはPSAと合併してステランティスとなる前から米グーグル系の自動運転システム会社ウェイモとも自動運転車で提携。ウェイモに自動運転車のベースとなる車両を提供するなど、自動車産業への参入を狙うIT勢とも積極的に組む姿勢を打ち出している。

 アップルがスマートフォンの生産で組む、富士康科技集団(フォックスコン)や広宇科技といった企業を傘下に置く台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループには、アップルカーの生産を委託しないもよう。ただ系列会社の鴻騰六零八八精密科技(FITホンテン)とは提携の可能性が残るという。

 郭氏の予想では、アップルは自動運転車を早くて25年にもローンチしようとしている。EMS(受託製造サービス)企業ではなく、既存の自動車大手と組むのは、競争の激化が予想される次世代自動車の領域で少しでも後れを取らないためだ。

 郭氏は「自動車大手の技術開発や生産、品質管理のノウハウを生かせば市場参入までの時間を短くできる」と指摘。また「自動車はスマホに比べて40~50倍の部品点数があるため、提携する自動車メーカーですでに実績のある部品を大部分、採用すると考えられる」との見解も示した。

 今後は現代や起亜、GM、ステランティスに部品を提供する協力会社にも注目が集まりそうだ。

 既存の技術やノウハウを活用する一方で、アップルが注力するのは自動運転に関わるハードウエアやソフトウエア、半導体、バッテリー関連技術、内装のデザインやユーザー体験の開発だ。

 自動車メーカーを頂点にピラミッド型の産業構造だった自動車市場。既存の常識にとらわれていては、すべてをガラガラポンしてしまいかねない新常識に乗り遅れそうだ。

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