日系メーカーの牙城であるタイの自動車市場が復活しつつある。新型コロナウイルスの感染拡大によって、観光産業を柱とするタイ経済は大きな打撃を受けた。アジア開発銀行によれば2020年の経済成長率はマイナス7.8%に沈む見通しだ。消費は低迷しており、11月の消費者物価指数(CPI)上昇率は9カ月連続のマイナスとなった。タイ経済の苦境が続くなかで、自動車産業がいち早い回復を見せた。タイ工業連盟(FTI)によれば、11月の新車販売台数は前年同月比2.7%増の7万9177台と、18カ月ぶりに前年同月を上回った。
市場をけん引したのは、いすゞ自動車だ。同社も一時は新型コロナの感染拡大により大きな打撃を受けており、4月の販売台数は前年同月比で55%減少した。ただ6月以降は各月とも前年同月を大きく上回る販売を記録し、11月の販売台数は1万7577台と前年同月比で2割以上も増加した。さらに1~11月の累計で見れば販売台数は前年同期比で4%増え、2016年以来で過去最高の販売台数を記録した。
なぜいすゞは新型コロナの渦中にあって販売増に転換することができたのだろうか。追い風となったのが、新型コロナを契機に生まれた「ニューノーマル(新常態)」だ。

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