東南アジアは日本車メーカーが市場シェアの8割を握る「日本車王国」だ。だが足元では異変も起きている。中国や韓国、そして現地の企業が電気自動車(EV)で攻勢をかけているのだ。

 本シリーズ「東南アジアEV攻防戦」では日本勢が築き上げた「王国」でうごめく競合の動きを詳報してきた(第1回:「日本車王国」に異変 タイになだれ込む中国自動車メーカー、第2回:現代自はインドネシアに、ベトナムでは国産EV 下克上に虎視眈々、第3回:タイでHV好調のトヨタ・ホンダ、それでもEV展開待ったなし)。

 日本の主要メーカーはこの動きをどう見ているのか、そして、どう迎え撃つのか。各社の現地トップに聞いた。今回はホンダのアジア統括会社であるアジアホンダモーターの五十嵐雅行社長兼CEO(最高経営責任者)だ。

アジアホンダモーターの五十嵐雅行社長兼CEO
アジアホンダモーターの五十嵐雅行社長兼CEO

東南アジアでもEVシフトが進みそうです。状況をどう見ていますか。

五十嵐雅行・アジアホンダモーター社長兼CEO(以下、五十嵐氏):取材に来る方たちは四輪車に注目していることが多いですね。確かに四輪の動向についても注視しています。ただ、私が今最も警戒しているのは、実は二輪車です。

 ホンダはベトナムやカンボジアの二輪市場で9割、タイやインドネシアではおおよそ8割のシェアを持つ二輪メーカーです。工業製品でこれだけのマーケットシェアを持っているのは非常に大きな強みだと思います。ただ最近は中国製の電動二輪が入ってきています。我々もタイをはじめ各国で、電動二輪を実証実験ベースで投入していますが、これよりもはるかに安い価格で中国製が流入しています。

 私は中国での駐在経験があります。2000年前後のことです。この時、ものすごい勢いで中国の二輪が電動化していったのを目の当たりにしました。ゲームチェンジと言えばいいのでしょうか。まずはオートバイが価格の安い「電動自転車」に置き換わっていったのです。同じような動きが起こらないとは限らない。油断できない状況だと思います。

 中国の電動二輪が流れ込んだ結果、安い製品がこの地域の市場を席巻(せっけん)してしまうかもしれない。また四輪・二輪問わず、中国勢や韓国勢は大規模に投資してきています。こうした動きは各国の電動車に対する法整備などにも影響する可能性があります。

 一方で我々は強い販売網を持っていると自負しています。そこで、たとえばバイクタクシーの電動化の動きを取り逃がさないようにしたり、四輪と二輪の双方に強みを持つ点を生かして混合交通に貢献できるモビリティー提案をしたりして対応していきます。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1538文字 / 全文2604文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「東南アジアの現場を歩く」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。