外国人の受け入れを制限していたタイが入国規制の緩和に動き出した。政府は11月1日以降、ワクチン接種などの条件付きで、日本を含む46カ国・地域から空路でやってくる渡航者の検疫隔離を免除すると発表した。

 タイは観光立国として知られ、新型コロナウイルスの流行以前(2019年)は年間で約4000万人もの外国人観光客を受け入れてきた。だが様相は一変した。外国人の姿は消え、レストランやマッサージ店など娯楽施設は閑古鳥が鳴く。繁華街では空き店舗が目立つようになった。

 アジア開発銀行(ADB)によれば、20年の経済成長率はマイナス6.1%に沈んだ。21年の成長率も0.8%にとどまる見通しだ。ADBは4月の段階では3%成長を予測していたが、9月に見通しを下方修正した。

 新型コロナの感染拡大はピークを越えているとはいえ、依然として1日当たり1万人前後の新規感染者が出ている。感染収束を待たずしての受け入れ再開は「まだ早いのではないか」(バンコク在住の会社員)と不安視する声も出ているが、疲弊する経済を立て直すためには国境を開き、観光業を活性化させるしかない。

外国人労働者、40万人不足

 もっとも、「外国人不足」に悩むのは観光業だけではない。タイ経済のもう1つの柱である製造業では、ミャンマーやカンボジアといった近隣国からやってきた外国人労働者が現場を支えてきた。その数を正確に把握することは難しいが、あるタイ企業の幹部は「従業員の半数以上がミャンマー人だった」と話している。

封鎖されているタイ・ミャンマー間の国境検問所(写真はタイ側)
封鎖されているタイ・ミャンマー間の国境検問所(写真はタイ側)

 だが観光業と同様、新型コロナの感染拡大で外国人労働者を取り巻く環境も一変した。工場を解雇されたり、外国人労働者が多く住むスラムで集団感染が発生したりしてタイを去る人がいる一方、規制により新たな出稼ぎ労働者がタイに入国することができなくなってしまった。

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