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 市場拡大が確実視される南アジア、東南アジアのデジタル関連市場で、米国勢と中国勢の「すみ分け」が進んでいる。南アジアの巨大市場インドでは米国のデジタル関連企業や機関投資家が有力企業に殺到し、相次ぎ大規模投資に乗り出した。一方、インド市場から締め出されつつある中国勢は東南アジアに熱視線を送る。新冷戦が激化すれば、ベンガル湾を挟んで米国勢と中国勢がデジタル分野で対峙するような事態になるかもしれない。

インド大手財閥リライアンス・インダストリーズ傘下の通信会社ジオ・プラットフォームズは、インドの厳しい価格競争を制して事業を急拡大させた。世界第2位の人口を抱える巨大市場での成長を見越して、同社には米国デジタル関連企業の投資が殺到している(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、アジア新興国経済は大きな打撃を受けている。9月15日にアジア開発銀行 (ADB)が発表した見通しによれば、インドの今年の成長率はマイナス9%に落ち込み、東南アジアも全体で3.8%のマイナス成長となる見通しだ。

 それにもかかわらず、インドと東南アジアのデジタル関連分野への投資は底堅く推移している。米調査会社クランチベースのデータによれば、2020年1~8月の東南アジア新興企業による資金調達額の合計(発表日ベース、金額が判明している案件のみ)は約108億ドルと前年同期比で13%程度しか落ち込んでおらず、インド(同)では約335億ドルと前年同期比で倍増している。