新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻など、次々と襲いかかる危機を受け、世界の新興国が窮地に立っている。ウクライナ危機を背景にエネルギーや食品価格は急上昇。世界的な利上げの動きにより新興国は資金流出の圧力にもさらされている。
「特に食料品の価格上昇とその不足は一部の国で社会的緊張を高める恐れがある」。アジア開発銀行(ADB)は7月下旬に発表した経済見通しでこう警告した。「今はまだ危機の入り口にすぎない。今後、様々な形でリスクが顕在化してくるかもしれない」と第一生命経済研究所の西濵徹・主席エコノミストは警戒する。
経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が脆弱な国ほど経済変調のあおりを受けやすい。真っ先に危機が顕在化した国が南アジアのスリランカだった。主要産業の観光業が新型コロナ禍で落ち込んだところにインフレと通貨安が襲いかかった。
外貨は急減し、7月には首相が国の「破産」を宣言した。同月9日には大統領公邸が群衆に占拠され、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領(当時)は国外に脱出して辞任。政権は崩壊した。

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