国際通貨基金(IMF)は7月27日、今年4月に発表した世界経済の見通しを改訂した。2021年の先進国・地域については見通しを上方修正する一方で、アジア新興国については下方修正した。アジアを中心とした新興国・地域が世界経済回復の足を引っ張る形だ。「経済活動のさらなる正常化が期待できる国々(ほぼ全ての先進国)」と「引き続き感染の再拡大や新型コロナによる死者数の増加に直面することになる国々」に世界が分断されつつあるとIMFは警告している。

 実際、東南アジア各国では新型コロナウイルスの感染拡大のペースが勢いを増している。シンガポールなど一部の国を除きワクチンの接種も遅れており、各国は感染を封じ込めるために厳しい封鎖措置を導入することを余儀なくされた。その影響を日本企業も受けている。象徴的なのが製造業だ。「トヨタも工場停止 デルタ型の猛威で東南アジアに部品不足の連鎖」でも触れたように、現地では生産の一時的な停止を迫られる企業が相次いでいる。

 もっとも、東南アジアにおける感染拡大をやきもきしながら見ているのは、域内で事業展開している企業や、この地域にサプライチェーンを抱える企業だけではなさそうだ。

 製造業から小売り、サービス業に至るまで、これまで日本は外国人技能実習制度などを利用し、いわゆる「外国人労働者」を数多く受け入れてきた。厚生労働省が発表している「外国人雇用状況」によれば、2020年10月末の段階で雇用されている外国人労働者の数は約172万人、外国人を雇用している事業所の数は約26万カ所と、双方で過去最高を記録した。雇用されている外国人の少なくとも4割は東南アジアからやって来た人々で占められている。

日本の介護施設で働くミャンマーの技能実習生(2019年撮影)
日本の介護施設で働くミャンマーの技能実習生(2019年撮影)

 多くの日本企業にとって欠かせない存在となった外国人労働者だが、コロナ禍の影響で労働者の往来は極端に減った。主要な人材の供給国であるベトナムでは日本での就労を予定する多くの人々が水際対策で渡航できず待機することを余儀なくされている。

長期化するコロナ禍で生じる労働力不足

 ベトナムをはじめインドネシアやフィリピン、ミャンマーなど主要な送り出し国で感染者数の拡大に歯止めがかからず、日本側でも厳しい水際対策が続けば、労働力不足に直面する日本企業は増えてくるだろう。

 切実な企業の需要を受けて、送り出しの現場では既に変化が起きていた。「昨年は新型コロナ禍を受けミャンマー人材に対するニーズは大きく減った。だが足元ではにわかに回復しつつあり、引き合いの声が急増している」。ミャンマーで日本企業向けに人材紹介などを手掛けるジェイサットの森川晃ゼネラルマネジャーはこう指摘している。日本での就労を希望するミャンマー人と日本企業とのオンライン面接を設定する機会も増えた。「是が非でも(人材が)欲しいと、面接者全員の採用を決める企業もあった」(同)

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