デジタル通貨を巡り、これまでにない動きが東南アジアで起きている。暗号資産を稼げるゲームが流行し、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行でも先行する。金融インフラの弱さがイノベーションを呼び、通貨のデジタル化に拍車がかかる。カンボジアは2020年10月、世界に先駆けてブロックチェーン(分散台帳)技術を活用したCBDCを導入。足元の利用者は延べ1000万人以上に上り、金融インフラとして定着させることに成功した(関連記事:ドル支配と忍び寄るデジタル人民元 カンボジアが挑む「通貨独立」)。プロジェクトを率いたカンボジア国立銀行(中央銀行)のチア・セレイ総裁補佐兼統括局長に聞いた。

カンボジアは世界に先駆けて中央銀行デジタル通貨(CBDC)「バコン」を導入しました。どのようなシステムなのでしょうか。

チア・セレイ総裁補佐兼統括局長(以下、チア・セレイ氏):バコンはブロックチェーン技術を活用した決済システムです。これを導入したことで、銀行間から個人間まで、あらゆる送金や決済を統一のプラットフォームで効率的に実施できるようになりました。

 携帯電話の番号一つで電子財布を利用できます。銀行口座にひもづけて出入金する以外にも、全国各地にある送金業者や銀行窓口で手持ちの現金をバコンに換えたり、逆にバコンから現金を引き出したりすることが可能です。バコン利用者同士なら電話番号さえ分かれば送金でき、銀行口座への振り込みもできます。銀行間決済も含めると、利用者数は導入から1年半で延べ1000万人を超えました。カンボジア人口の6割を超える水準です。

バコン導入を主導したカンボジア国立銀行のチア・セレイ総裁補佐兼統括局長
バコン導入を主導したカンボジア国立銀行のチア・セレイ総裁補佐兼統括局長

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