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 カンボジアで通貨を巡る混乱が起きた。発端は5月末、同国の中央銀行が国内の商業銀行やマイクロファイナンス企業に対し、国内で流通する1ドル、2ドル、5ドルの米ドル紙幣を回収する方針を発表し、さらに今年9月以降は米ドル紙幣の回収に手数料を課す考えであることも明らかにしたことだ。

(写真=PIXTA)

 これに慌てたのがカンボジア国内で商売を営む人々だ。現地紙クメールタイムズの報道によれば、市中の商店やタクシードライバーなどの間では、これまで流通していた米ドル紙幣が使えなくなるとの不安が広がり、ドルの受け取りを拒否するケースが頻発した。事態を鎮静化するためフン・セン首相は「(米ドル紙幣の利用は)禁止されていない。自由に使い続けて欲しい」とのコメントを即座に発表。現地の金融関係者の話によれば「フン・セン首相の意向を受けて中銀はドル紙幣の回収を中断した」という。

 カンボジアの人口は1600万人程度で、国内総生産(2019年、IMF予想)は267億ドルと日本の1%にも満たない。そんな「小国」の通貨を巡る混乱を取り上げるのは、その背景に世界各国で影響力を強めてきた中国の存在があるからだ。