民主派の一斉蜂起が近いとの噂も

 ヤンゴンなど都市部では、あからさまな抗議運動に代わり、国軍関連施設を狙った爆発や銃撃事件が頻発するようになった。現地報道によると、最近では民間施設も狙われるようになっている。

 NUGは国軍の弾圧から人々を守るため「国民防衛隊(People's Defense Force、PDF)」を発足させた。また国軍の弾圧を受け都市部を逃れた人々の一部は、少数民族武装勢力から軍事的な訓練を受けている。「ジャングルでの生き延び方に加えて、国軍に『反撃』するすべも伝えている」。ある少数民族武装勢力の幹部はこう話す。

 PDFや軍事訓練を受けた人々が今、組織的に破壊活動を展開しているとは考えにくい。ただ反国軍の立場にある一部の人が過激な行動に出ている可能性はある。さらに「民主派勢力が一斉蜂起の準備をしている。近く実行に移すようだ」という噂も駆け巡っており、都市部から避難する動きもある。

 都市部では現金不足も深刻だ。ATMには長蛇の列ができ、企業は一部を除きブローカーを通じて現金を調達せざるを得ない状況になっている。法外な手数料を取られるため「商売をすればするほど赤字になる」と、ある中小企業関係者はこぼす。以前は4000チャット(約266円)程度だった鶏1羽が今では6000チャット(約400円)するなど物価上昇も顕著になった。

現金不足が深刻化し、ATMには長蛇の列ができる。(写真:ロイター/アフロ)
現金不足が深刻化し、ATMには長蛇の列ができる。(写真:ロイター/アフロ)

 経済の見通しは不透明だ。「国軍系企業を中心に据え、中国やロシアなど親和的な国に頼りつつ天然資源や農産物を切り売りして外貨を稼ぐことになる」(日本政府関係者)。成長の原動力は海外からの投資だったが、これが滞ることは避けられない。先行きの不透明を受けてアジア開発銀行は4月、ミャンマーの2022年の経済成長見通しを示すことを見送った。

 政情不安が続く中、この国に進出する400社以上の日本企業の大半は身動きが取れなくなった。

(次回に続く)

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