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 新型コロナウイルスの感染拡大を抑えようと、日本が外出自粛の徹底に腐心する一方で、いち早く封鎖に取り組んできた東南アジアや南アジア、オセアニアの各国は次の課題に取り組み始めている。新型コロナを抑制しつつ、どう経済活動を再開させていくかという課題だ。新型コロナの脅威が去ったわけではない。だが経済を犠牲にした封鎖をいつまでも続けることはできない。どういう形であれば新型コロナをコントロールしつつ経済活動を再開できるのか、各国が模索している。

 4月14日、インドは封鎖期間の延長を発表すると同時に、感染が抑制されている地域については製造業や建設業などの再開を認める方針を出した。インドと同様に全土封鎖に取り組んできたマレーシアやニュージーランドも条件付きながら一部、企業の活動再開を認めた。商業施設や娯楽施設、公園などの施設を封鎖しているタイも、来月から感染の危険度合いによって地域を分類し、段階的に商業施設などの封鎖を解除していく方針を示した。インドは厳しい封鎖に取り組んでいるものの感染者数は急増している。それでも、経済活動を無期限に止めていては、いずれ社会は干上がってしまう。

 封鎖により特に厳しい状況に置かれているのは、安定した収入基盤がなく、その日暮らしを強いられる低所得者や貧困層だ。ILO(国際労働機関)は7日、インドのインフォーマルセクター(露天商など、公式統計に表れにくい部門)で働く4億人が貧困化する恐れがあるとのリポートを発表した。タイでは社会保険に加入していない労働者に月5000バーツ(約1万6000円)を給付する取り組みを発表すると、希望者が殺到。政府は当初300万人としていた対象枠を大幅に拡大することを求められた。

タイの首都バンコクにあるスラム。10万人が生活していると言われる。こうしたスラムが全国で2000カ所前後あると見られている。

 正確な規模を把握することは難しいが、アジアのインフォーマルセクターで働く人々の中には、地方から都市へ、そして経済規模が小さい後発国から域内先進国へ、相対的に高い収入を求めてやってきた出稼ぎ労働者も多いと見られる。受け入れ国や企業は、彼らを安価な労働力として歓迎してきた。ただ足元では、こうした出稼ぎ労働者が、経済的な面からも、そして新型コロナの感染拡大という面からも高いリスクを抱える集団になっている。