東南アジアの配車大手グラブが4月13日、米投資会社のSPAC(特別買収目的会社)と合併し、米ナスダック市場に上場すると発表した。企業価値は396億ドル(約4兆3000億円)と過去最大のSPAC上場となる見通しだ。グラブの発表によれば、今後数カ月以内にナスダック市場で同社株式を取引できるようになるという。

レストランの食事を配達するグラブのドライバー(バンコク)。SPACとの合併により米ナスダック市場に上場すると発表したグラブには、ソフトバンクグループやトヨタ自動車などが出資している

 SPACを活用した上場は「空箱上場」などと呼ばれる。SPACは未上場企業の買収を目的としており事業実態はない。上場をもくろむ事業会社はこれと合併することで、一般的なIPO(新規株式公開)の手順を踏むよりも容易に、短期間で上場できるとされる。

 この「手軽さ」が受け、近年では米国を中心に数多くのスタートアップ企業がSPAC上場に引き寄せられた。調査会社のSPACリサーチによれば、このスキームを活用した上場件数は2021年にこれまで307件と既に前年(248件)を上回り、18年の5倍以上に膨らんでいる。

 ブームは東南アジアにも押し寄せている。ネット通販のトコペディアにブカラパック、オンライン旅行会社のトラベロカ、グラブと競合する配車大手のゴジェックなど、東南アジアで急成長したユニコーン企業(評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップ)がSPAC上場を検討していると見られる。またインドでも米ウォルマートが出資するフリップカートがSPAC上場を検討中と報じられた。

 東南アジアや南アジアの名だたるユニコーンがこぞってSPACに関心を示す理由は何か。その背景を探ると、このスキームがアジアのスタートアップが急成長する起爆剤となり得ることや、世界の投資マネーの動きを変える可能性を持つものであることが見えてくる。

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