タイのプラユット首相は24日、新型コロナウイルスの感染拡大に機動的に対応するため、26日から非常事態宣言を発動すると発表した。だが「詳細については今後明らかにする」と内容を明かさなかったために、国民だけでなく、タイに多く集積している日系企業の関係者の間にも混乱が広がった。「終日外出が禁止されるのではないか」「いや夜間だ」「県をまたいだ移動ができなくなるようだ」「会社の業務を停止しなければならなくなる」。スマホのメッセンジャーアプリやSNS(交流サイト)ではこんな憶測が飛び交った。

タイでは26日、非常事態宣言が発動された。バンコクでは警察がドライバーの健康状態をチェックしている(写真:AP/アフロ)
タイでは26日、非常事態宣言が発動された。バンコクでは警察がドライバーの健康状態をチェックしている(写真:AP/アフロ)

 「とりあえず今考えられる対策を練っているが、とにかく情報がない」。バンコクから車で1時間ほどの距離にあるチャチュンサオ県の日系自動車部品メーカー関係者は混乱した様子でこう話していた。この工場は24時間稼働しており、周辺の県から多くの従業員が通っている。「夜間外出の禁止だけなら、早めに夜勤の従業員に来てもらえば対応できるかもしれない。だが終日の外出禁止とか、県をまたいだ移動の禁止などが打ち出されたら終わりだ。製造ラインを止めるしかない」と話した。

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