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 東南アジアや南アジア、そしてオセアニアで、人の移動を制限したり企業活動を禁じたりするロックダウン(封鎖)に踏み切る国が増えている。この地域で判明している新型コロナウイルス感染者数は欧州や米国に比べれば少ないものの、手をこまぬいていれば感染に歯止めがかからなくなるとの懸念が強い。人・モノの移動と、それに伴う経済活動を今は犠牲にしても、感染拡大を抑え込もうと各国が強行策に踏み切っている。

 各国報道などによると、いち早くロックダウンに動き出したのはフィリピンで、3月15日からマニラ首都圏を、17日にはマニラを含むルソン島を封鎖した。生活必需品を購入するなどやむを得ない場合を除き住民の外出を禁じている。18日にはマレーシアが全土で移動制限を実施し、スーパーや薬局などを除き、政府機関や企業の事業所を閉鎖した。

23日、インドは大部分のエリアでロックダウンに踏み切り、生活必需品を販売する店舗などを除き、企業は業務を停止している。写真は首都ニューデリー。(写真:AFP/アフロ)

 先週末から封鎖の動きが加速した。22日に全土に外出禁止令を出したインドは、24日の午前中までに30の州・連邦直轄領にまたがる地域を封鎖した。国鉄や地下鉄、バスの運行は停止し、国際線も原則として着陸できなくなった。24日深夜には国内線の運行も止まる見通しだ。生活必需品を売る店舗を除き、民間事業所も閉鎖を迫られている。

 タイでは首都バンコクで22日までに娯楽施設と、スーパーや薬局などを除く商業施設が閉鎖した。さらに23日には隣国との陸路国境も原則閉鎖すると発表している。既に外国人の入国を禁止しているオーストラリアでは23日、娯楽施設やレストランなどの営業が停止。ニュージーランドは同日、24日深夜からロックダウンに踏み切ると発表した。

タイの首都バンコクでは22日に商業施設が閉鎖された。写真は中心部にある大規模ショッピングセンター「セントラル・ワールド」。

「大きな混乱が起こるとすれば、これからだ」

 24日午前中の段階で、判明している新型コロナの感染者数が2000人を越えている東南・南アジア、オセアニアの国はなく、オーストラリアとマレーシアだけが1000人を越えている。インドの感染者数は499人と日本よりも少ない。それでも各国が封鎖に踏み切るのはイタリアで見られるようなオーバーシュート(感染者の爆発的増加)を何としても回避したいという強い危機感があるからだ。

 「我々のような発展途上国にとって、新型コロナがもたらす危機は尋常ではない」。インド英字紙ビジネス・スタンダードによれば、モディ首相は19日にこう演説している。特に東南・南アジアは発展途上国が多く、医療体制が十分に整っているとは言い難い。「今インドでは海外への渡航歴のある富裕層を中心に感染が拡大している。これが都市部のスラムにまで及んだら、手がつけられなくなってしまう。インドでは医療体制が圧倒的に整っていない。だから今は無理やりにでも感染の連鎖を断ち切る必要があるのだろう」。あるニューデリー在住者は今回のロックダウンについてこう見ている。