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 頭を抱えているのは、事業所の閉鎖を求められた企業だ。あるショッピングセンターを運営する企業関係者は「現状では対応を協議中としか言えない。ショッピングセンターは開業を続けていいのか、情報が足りない」と話す。基本的には工場も18日からの閉鎖を免れない。マレーシアに大規模工場を展開する日系大手製造業も「朝から対応を協議している」という。

 マレーシアに進出している日系製造業に詳しいあるコンサルタントの元には、政府発表の直後から日系工場関係者からの電話が相次いだ。「本当に工場を止めないといけないのか」「製品の組み立てに必要な部品の輸入はどうなるのか」「工場を停止した際の損害を国は補償してくれるのか」といった悲鳴にも似た問い合わせを受けている。だが「現段階では政府からの詳細な説明はなく、何も言えない状況だ」とコンサルタントは話す。「少なくとも、日系企業のサプライチェーンに大きな影響が出ることは避けられないだろう」と指摘する。

 テレビ・コンピューター関連部品を生産する日系メーカーの関係者は17日午前の時点で「まだ正式決定してはいないが、工場の操業は止めるほかない。マレーシア国内の完成品メーカーも稼働を止める方針だと聞いている。我々もそれにならうしかないだろう」と話す。「我々の部品は日本を含む国外にも輸出されている。国外取引先の生産にも影響は出るだろう」とこの関係者は危惧している。

 マレーシアには輸出加工拠点が多く集まっており、日本貿易振興機構(ジェトロ)のデータによれば日系企業約1400社が進出している。約半数が製造業だ。マレーシア政府の統計では、2019年の日本への輸出額は652億リンギット(約1.6兆円)に上る。2週間とはいえ、マレーシア全土で工場の稼働が停止する影響は大きい。多くの企業では明日の操業停止に対処することを迫られており、サプライチェーンへの影響がどの程度生じるのかはまだ見えていない。