ミャンマーで2月1日、国軍によるクーデターが発生した。ロイターなどの報道によれば、同日朝、軍は与党、国民民主連盟(NLD)のアウン・サン・スー・チー国家顧問ら党幹部を拘束。その後、非常事態宣言を出した。国軍所有のテレビ放送によれば、軍が全権を掌握したという。

1日昼の段階でタイからミャンマーへの国際電話は通じない。同国最大の商業都市ヤンゴンの在住者によれば、携帯電話の通信が止められているという。地方都市の在住者も同様に電話が通じないと語る。大きな混乱は起きていないものの、政府関連の施設付近の道は通行止めになっており、要所は国軍に押さえられているようだ。国軍が所有する以外のテレビ局も放送を取りやめている。現地で操業する日系企業の間では、工場の稼働を止める動きが相次いだ。ATMが稼働せず現金が下ろせないという声も出ている。また少なくともヤンゴンでは外出禁止令が出され、1日の現地時間18時以降の外出ができなくなるようだ。
軍政時代に逆戻りしたミャンマー
ミャンマーは軍が支配する国に逆戻りしてしまった。1962年のクーデターで実権を握った軍は約50年にわたってこの国を支配した。2011年、ようやく民政移管を果たし、2015年の総選挙ではスー・チー氏率いるNLDが大勝した。だが民主化の動きは10年ももたなかった。今後の動向は不透明だが、今回のクーデターについて、ある政治家は「突発的に起きた動きではない。用意周到に計画されていたものだ」と話している。15年の長きにわたって軟禁されていたスー・チー氏が再び長期間、拘束される恐れもある。
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