「世界の成長センター」の期待を背負う東南アジア。各国は高い経済成長を実現してきたが、産業構造の急激な変化や中国の台頭など、目の前には乗り越えるべき多くの困難が待ち受ける。バンコクを拠点に各国を巡りながら、この地域の本質を理解する手掛かりを探る。(写真:アフロ)
シリーズ
飯山辰之介の東南アジアの現場を歩く

43回
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「ワクチン難民になるのでは」 アジア在住日本人の不安
日本国内で新型コロナワクチンの接種が始まった。このニュースをアジア在住の日本人は複雑な思いで受け止めている。「自分たちはいつワクチン接種を受けられるのだろうか」。在住者の間では、そんな不安がじわりと広がりつつある。
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ミャンマーのクーデター、日系企業に広がる戸惑いと失望
国軍によるクーデターが起きたミャンマー。反発する国民は職場を放棄し、路上に出て怒りの声を上げている。混沌とした状況の中、多くの日系製造業が工場の稼働停止を余儀なくされた。「明日の見通しすら立たない」という。長期的な成長期…
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ミャンマー・クーデター、10年続かなかった民主政権 カギを握るのは中国
2月1日朝、ミャンマーの国軍がアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相らを拘束し、全権を掌握。クーデターが実行された。経済に与える影響は甚大で、長期の低迷が避けられない恐れもある。解決の糸口はまだ見えないが、鍵を握るのが、…
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いすゞがタイで絶好調 後押しした「新常態」需要
タイの自動車市場で、いすゞ自動車が販売台数を伸ばしている。一時は新型コロナウイルスの影響で大打撃をこうむったものの、2020年6月以降は各月で前年を上回って販売台数を伸ばし、1~11月の累計では2016年以来で過去最高を…
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ミャンマー総選挙制したスー・チー氏、中国の「くびき」を外せるか
11月8日、ミャンマーで5年ぶりの総選挙が実施され、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が率いる国民民主連盟(NLD)が大勝を収めた。2015年の総選挙に続く地滑り的勝利で、スー・チー氏の求心力の高さが改めて証明された…
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RCEP署名もインドはそっぽ、米中に印中対立、コロナ禍が翻弄
日本や中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)の各国やオーストラリアなど15カ国は11月15日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。約8年の歳月をかけてようやく辿りついたゴールだ。だが参加するはずだ…
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「バイデン氏は東南アジアに回帰する」 タイの専門家
大接戦となった今回の米国大統領選挙の結果がようやく見えた。米国の主要メディアは11月7日、相次ぎ民主党のジョー・バイデン氏の勝利を報じ、同日バイデン氏は勝利宣言した。では米国を率いる新しいリーダーは東南アジアからどう見ら…
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妥協点見えないタイ反体制デモ トヨタなど日系企業にも政治リスク
激化する一方の反体制デモに対し、政府は一部譲歩する姿勢を見せる。だがデモ側が動きを緩める気配はなく、10月21日夜にはプラユット首相に3日以内の辞任を求めた。対立に妥協点は見えない。国を分断する危機は日系企業にも難しい問…
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幹部の一斉逮捕でも止まらない、タイの反体制デモ
タイの反体制派と政府の対立が激化している。政府は反体制派の指導者らを逮捕し、機動隊によるデモの強制排除に乗り出すが収束する気配はない。着地点は見えず、緊迫した状況が続く。
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苦境のタイ航空、なりふり構わぬキャッシュ獲得作戦
パイロットと客室乗務員が出迎える食堂に、ファースト・ビジネスクラス限定お菓子の販売、フライトシミュレーターの一般開放に遊覧飛行……。5月に経営破綻したタイ国際航空があの手、この手でキャッシュを確保しようともがいている。
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エアアジア、日本撤退に透けるしたたかな戦略
東南アジア最大の格安航空会社(LCC)、エアアジア・グループが日本から撤退することを決めた。日本事業は不採算だったため、新型コロナウイルス危機を受けて事業を断念せざるを得なかったと報じられている。一方で、同グループが本拠…
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反体制デモが王室改革を要求 揺らぐ「タイ式民主主義」
9月19日から20日にかけて、タイで大規模な反体制デモが起きた。参加した人々は現政権だけでなくタブーとされる王室批判にもちゅうちょなく踏み込んでいる。なぜ人々はタブーを恐れず王室改革を求め始めたのか、その背景を探る。
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「青い」インドと「赤い」東南アジア、色分け進むデジタル勢力図
インドや東南アジアのデジタル関連投資は新型コロナ危機の渦中にあっても堅調に推移しており、インドではむしろ投資が拡大している。ただ米中対立や印中対立を背景に、この地域のデジタル関連市場では異変も起きている。インドでは米国勢…
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「日本は南シナ海問題に貢献を」タイ識者に聞く次期首相への期待
安倍晋三首相が8月28日に辞任を表明し、次期首相となる自民党総裁選が目前に迫っている。7年8カ月に及んだ安倍政権を東南アジアはどのように見ていたのか。次期首相にどうような期待をかけているのか。日本とASEANの関係に詳し…
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タブーの王室批判も辞さず タイで激化する反体制デモと米国陰謀論
タイで反体制運動が激化した。政府に対する抗議運動はタイのタブーである王室批判に及んだ。保守派がこれに反発し、反体制運動の背後には米国がいるとの陰謀論を繰り広げ始めた。国内の政治社会の在り方をめぐる対立は、グローバルな文脈…
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外国人観光客が激減したタイ、突破口は医療ツーリズム
年間4000万人近い外国人が訪れるタイの観光産業が新型コロナの影響で困窮している。その影響は近年市場が拡大していた医療観光(メディカル・ツーリズム)にも及んだ。ただ受け入れ再開の突破口になるのもこの分野になりそうだ。
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グラブが直面「ドライバーの乱」、急成長企業の試練
8月10日、ライドシェア・配車大手グラブのタイ法人本社前に100人を超えるドライバーが結集し、抗議活動を展開した。新型コロナで人々の移動需要は大きく減った。打撃を受けたドライバーの不満が噴出している。
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香港を脱出する人とマネー 東南アジアが装う「無関心」
「香港国家安全維持法」が象徴する中国政府による統制強化を受け、香港から海外に資産を移したり、海外不動産を取得したりする動きが活発化している。シンガポールをはじめとする東南アジアは有力な資産や住居の逃避先だ。ただ東南アジア…
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不動産も「おまけ」 タイで広がるマーケティング新常態
新型コロナ危機は世界各地で消費を大きく落ち込ませた。観光収入が大打撃を受けたタイも例外ではない。消費者の財布のひもをこじ開けようと、不動産開発大手はタイで一般的な「おまけ」商法をマンション販売にも生かす。SNS(交流サイ…
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「中国を恐れる必要はない」、警戒一辺倒ではないアジアの対中観
アジア太平洋地域で中国の覇権主義に対する警戒感が広がっており、東南アジア各国は南シナ海での中国の影響力拡大に神経をとがらせる。一方、東南アジア各国と中国との関係は深く、その投資を経済成長の原動力にしてきた面もある。タイの…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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