「世界の成長センター」の期待を背負う東南アジア。各国は高い経済成長を実現してきたが、産業構造の急激な変化や中国の台頭など、目の前には乗り越えるべき多くの困難が待ち受ける。バンコクを拠点に各国を巡りながら、この地域の本質を理解する手掛かりを探る。(写真:アフロ)
シリーズ
飯山辰之介の東南アジアの現場を歩く

80回
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「大麻解禁」に沸くタイ、規制緩和がもたらすのは富か災いか
6月9日、タイは規制する麻薬リストから大麻を除外し、個人が使用したり、栽培したりできるようにした。これまでもタイ政府は段階的に大麻に関する規制を緩和しており、世界的に拡大が見込める大麻産業に食い込もうともくろむ。ただ思い…
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原発「復権」東南アジアでも 脱炭素と安定供給、両立の切り札に
フィリピンで30年以上にわたって放置されてきた原発が近い将来、動き出すかもしれない。原発を脱炭素に向けた「切り札」として活用しようと、アジア各国が導入に関心を示し始めた。乗り越えるべき課題は多いが、この地域が技術保有国に…
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フィリピン大統領選、「独裁者の息子」を押し上げた失望と幻想
6年に1度のフィリピン大統領選を制したのは、かつて国民が革命によって失脚させた「独裁者の息子」だった。その勝利を支えたのはソーシャルメディアだ。圧政の過去を美化する真偽の不確かな情報を、なぜ人々は受け入れたのだろうか。
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ウクライナ避難民は行けるのに……ミャンマーで広がる日本への失望
ウクライナ避難民を積極的に受け入れる日本。その様子をミャンマーの人々が複雑な思いで見つめる。クーデター以来、50万人超の国内避難民が発生した。日本への渡航を望む人も多いがほとんど受け入れられていない。ウクライナ問題との対…
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東南アジア、ロシアに武器依存というジレンマ 米中ロの狭間で綱渡り
国連総会緊急特別会合のロシアを非難する決議案の採択で、ベトナムとラオスが棄権。クーデターで国軍が権力を掌握するミャンマーも含め、これらの国は軍事面でロシアへの依存度が高い。
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「ウクライナ危機で生産の問題は複雑化」 ミネベアミツミ貝沼社長
新型コロナウイルス禍が引き起こしたサプライチェーンの混乱に追い打ちをかけるウクライナ危機。既にその影響は物流面に出始めている。日本の製造業は次々と襲い掛かる試練をどう乗り越えてきたのか、そしてどう乗り越えようとしているの…
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海外生産は「ベトナムでも採算難しく」 安い人件費依存に転換期
新型コロナウイルス禍が引き起こしたサプライチェーン(供給網)の混乱に追い打ちをかけるウクライナ危機。既にその影響は物流面に出始めている。様々な試練に直面する日本の製造業のサプライチェーンは今後どう変わるのか。縫製業大手で…
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アジアの「低コスト生産」はもう限界 日本回帰は進むのか
コロナ禍が引き起こしたサプライチェーンの混乱に追い打ちをかけるウクライナ危機。既にその影響は物流面で出始めている。人件費の安さを前提に日本の製造業が構築してきたサプライチェーンを、新たな環境に合わせてどのように変えていく…
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ウクライナ危機の余波、東南アジアに 物流・生産の混乱収まらず
コロナ禍が東南アジアにもたらした物流の混乱や原料高に収束の兆しが見えてこない。ウクライナ危機の余波が追い打ちをかけ、低コストでの生産に試練が訪れている。
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世界最大の民主主義国インドが、ロシア制裁に慎重な理由
インドがロシアのウクライナ侵攻に対し目立った批判を避けている。背景には密接な印露関係があり、ロシアとの関係を維持することで中国との対立を有利に運びたいとのもくろみもある。インドは日本や米国、オーストラリアと対中で協力関係…
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コロナ禍で経済疲弊の東南アジア、やむにやまれぬ「開国」へ
東南アジア各国が水際対策を緩和し、渡航者の受け入れに動き出している。新型コロナウイルスの感染拡大は続いているが、国を閉ざし続けるのは経済的にもう難しい。新型コロナをインフルエンザなどのように「エンデミック(一定期間で繰り…
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通貨価値300倍に 東南アジア発「リアルで稼げるゲーム」経済圏
ブロックチェーンを活用したゲームが東南アジアで人気を集めている。ゲーム内で獲得したアイテムや通貨は暗号資産として現金に換えることもできるため、経済的に余裕のない人々にとって貴重な収入源になっている。人気の高まりを受けて新…
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「再エネ・水素大国」へ、インドの野望と日本の好機
大気汚染が深刻化するインドで脱炭素の機運が高まっている。COP26ではモディ首相が2070年にも温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げた。再エネを拡大し石炭への依存を減らすことは、経済的にもエネルギー安全保障の観点か…
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日本の入国制限は「緩和のふり」? アナログ、非効率に批判殺到
政府は入国制限を緩和し、条件付きで外国人労働者が来日できるようにした。だが受け入れプロセスは複雑なうえ、問い合わせすら満足にできない。現場では大きな混乱が生じており、関係者からは戸惑いと不満の声が相次いでいる。
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三菱自動車タイのトップ、アジアの電動化は「PHVが最適解」
「日本車王国」東南アジアの自動車市場の動向を追うシリーズ。中国や韓国、そして現地の企業が電気自動車(EV)を突破口に日本勢の牙城を崩そうとする中、日本車メーカーはどう動くのか。東南アジアを主力市場とする三菱自動車のタイ法…
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「中国勢の攻勢を実感」 日産の現地トップが語るアジアの電動化戦略
日本車が高いシェアを握る「日本車王国」の東南アジア。中国や韓国、そして現地の企業が電気自動車(EV)を突破口に日本勢の牙城を崩そうとする中、日本車メーカーはどう動くのか。タイ日産自動車とインドネシア日産自動車の社長を兼務…
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ホンダのアジアトップ 中国の電動二輪を警戒、四輪は「アジアのEV」も
日本車が高いシェアを握る「日本車王国」の東南アジア。中国や韓国、そして現地の企業が電気自動車(EV)を突破口に日本の牙城を崩そうとする動きを、日本車メーカーの現地幹部はどう見ているのか。ホンダのアジア統括会社のトップに聞…
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外国人労働者が戻ってこない タイ製造業に自動化の波
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、タイでは製造業における外国人労働者の不足が顕在化した。これを乗り切ろうと、足元では産業用ロボットなど自動化設備を導入する動きが出ている。設備投資に踏み切って生産の効率化を進めるのか、…
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タイでHV好調のトヨタ・ホンダ、それでもEV展開待ったなし
東南アジア主要国の自動車市場でシェア8割を握る強さを誇ってきた日本メーカー。ところが、電動化を突破口に中国や韓国、現地のメーカーが日本勢の牙城を切り崩そうと動き出した。対する日本勢はどうするのか。シリーズ第3回では、日本…
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現代自はインドネシアに、ベトナムでは国産EV 下克上に虎視眈々
インドネシアで電池も完成車も生産できる体制を整える現代自動車、国産EVの生産・販売に前のめりなベトナム最大の複合企業、そして台湾・鴻海(ホンハイ)と組んでEV生産に乗り出す国営タイ石油公社……。「日本車王国」の東南アジア…
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小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
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10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
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グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回