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 動画共有アプリ「TikTok」で知られるバイトダンス(字節跳動科技)が力を入れる、テレワーク向けクラウドサービス「飛書(フェイシュー)」。同分野で先行する騰訊控股(テンセント)やアリババ集団に正面から競争を挑んできたが、ここにきてある困難に直面した。

「飛書」でテレワーク市場での勢力拡大を目指すバイトダンス(字節跳動科技)

 2月29日、バイトダンスは、次のようなメッセージが表示されるとユーザーから指摘があったと発表した。飛書のファイルへのリンクが「ブロックされている」。このため、テンセントの微信(ウィーチャット)から開けない。飛書のオフィシャルサイトや関連ドメインへのリンクはいずれもウィーチャット上で制限され、飛書のユーザーはウィーチャット上で会議への参加を呼び掛けたり、新たなメンバーをチームに招待したり、ファイルをシェアしたりすることができない状態になった。

 ネットサービスで中国最多のユーザーがいるウィーチャットが意図的に飛書への接続を切断すれば、ユーザーの使い勝手や新規ユーザーの獲得スピードにも必然的に影響するだろう。財新記者も試してみたところ、飛書への招待やリンクは現在もやはり直接ウィーチャットでシェアすることができない。画面上には「ただいまシェアしようとしたアプリはシェア権限を取得していません」と表示される。飛書への招待情報が含まれたQRコードを画像として送ることはできるが、相手側がアクセスするためには、それを他のアプリでスキャンしてブラウザーにアドレスをペーストする必要があり、手間がかかる。

 飛書はドメインへのアクセスを禁止される前に、ウィーチャット側からいかなる通知も受け取らなかったという。飛書が不服を申し立てた後、ウィーチャットはブロックのコメントを「ご覧になりたい場合は、アドレスを長押ししコピーした後に、ブラウザーでご訪問ください」に変更したが、それについていかなる説明もしていない。

 飛書は財新の取材に以下のように回答した。「飛書に招待したからといって、ウィーチャットに友人を追加されるわけではない。飛書上に登録されたユーザー個人の名刺情報や招待ページへのQRコードリンクをウィーチャット上でシェアするだけだ。この機能は今年1月から追加したものだった。今後ユーザーの使い勝手を向上させ、顧客にブロックによる迷惑がかかることがないようにしたい」

 テンセントは公式にはコメントしていないが、同社に近い関係者によると、今回のブロックは「ダウンロードとリンク先へのジャンプの誘導を制限する」という規則を根拠としている。ウィーチャットが昨年10月に公布した管理規定のことだ。ユーザーがウィーチャット上ではリンク先の商品情報などを知る手立てがなく、他のダウンロードページに行く必要があったり、外部のアプリに移動しなくてはならなかったりするものは直接リンクできないという内容だ。

 テンセントが提供する競合サービス「企業微信(企業版ウィーチャット)」はウィーチャットとつながっている。他のアプリへ移動することなく直接友達を追加し、コミュニケーションを取ることができる。

 アリババが提供する競合サービス「釘釘(DingTalk)」も、同じく招待リンクを直接ウィーチャットの友達とシェアすることはできず、ウィーチャットの画面に表示されるアドレスをコピーしてブラウザーに貼り付けてアクセスしなければならない。ただし飛書と異なり、釘釘のサイトとライブ配信などのリンクはウィーチャット上で直接開くことができる。
(編集部注:テンセントはタオバオなどアリババの個人向けサービスについては、ウィーチャット上で直接リンクを貼れないようにしている)