古鎮は常住人口こそ15万人と少ないが、全国の照明器具の7割を製造している。新型コロナウイルスが猛威を振るっている中で、今のところまだ感染者はゼロだ。しかし、古鎮の照明器具工場の社長や販売業者のおよそ3割が、よりによって感染拡大が深刻な温州出身だったのだ。広東省は操業再開を巡って、感染が深刻な2大地域である武漢と温州の関係者の隔離または入境拒否を明確に要求している。ゼロ感染を死守しつつ、操業再開を果たさなければならない。これが古鎮で操業する企業にとって大きなプレッシャーとなってのしかかった。
町の経済情報局、人力資源・社会保障局、衛生と計画生育委員会に勤める30人余りのスタッフにとって、最大のプレッシャーは操業再開の可否を判断するための立入審査作業だった。「町には800社の企業があり、どう頑張っても審査は追い付かない」。前出の曽暁芳経済情報局長はこのように語った。
メッセージ公開後、立入審査は申告制に切り替わった。古鎮で最初に立入審査に合格した会社の1つである松偉照明の謝偉社長は、地元政府の作業効率に満足している。「16日に資料を提出。17日に予防管理指揮部が訪れ現場の写真を撮り、許可証明書にハンコを押してもらい、すぐに再開できた。再開前に政府担当者と企業経営者たちはウィーチャットでグループを作った。困ったことがあればグループに直接質問を投げかけ、政府側は調整して解決してくれる」
操業再開には、マスク以外に消毒措置、従業員が入退場する際の体調管理、検温記録と社内管理の記録などが義務付けられた。復帰した従業員の安全を守るため、謝偉社長は武漢が封鎖されたその日、薬局を駆け回ってマスクを2000枚かき集めた。その後も方々で奔走し、やっとのこと6000枚を追加で手に入れることで、再開後10日分のマスクを確保した。さらに謝偉社長は社員寮のワンフロアを空けて、一足先に戻った従業員たちを迎えた。「320人の工場のうち、130人が帰ってきてくれた。温州や武漢籍の従業員を除いて、これから先4〜5日のうちにぞろぞろ戻ってくれるだろう」
曽暁芳経済情報局長によると、温州籍の社長たちはまだ足止めをされている。それでも多くの工場は現地パートナーの協力を得て操業を再開した。古鎮の高額納税トップ企業である欧普照明は従業員数1600人。例年この時期の社員復帰率は95%になるが、2月19日になってもわずか690人しか集まらない。「自動車をチャーターして迎えに行くことを検討している」という。実際、広東省では2月16日以降は急ピッチで回復している。交通面での金銭補填と同時に、マスクの調達が至上命題になっている。
(第2回に続く)
原瑞陽、羅国平、曾凌軻、孫良滋、何書静、屈慧、陳雪婉、王婧、叶展旗、実習記者 周美霖、実習記者 趙煊©財新週刊. 2020 Feb.24
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