(写真:Shutterstock)
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 「トルコリラは怖い。一晩で証拠金に入れていた150万円がなくなってしまった」

 こう話すのは、神奈川県在住の個人投資家、サトコさん(40代、仮名)だ。2021年10月末、1トルコリラ=11円台になったタイミングで「そろそろ下げ止まるのではないか」と思いリラを購入した。トルコでの政策金利が18%から16%に下がった直後ではあったものの、低金利の日本と比べればまだまだ高水準だ。

 保有しているだけで「スワップポイント」と呼ばれる短期金利の差から生まれる収益を手に入れることができる。リラが大きく下落することがなければ、スワップポイントで利益を得られると考えた。

 ところが11月23日、リラ相場は1トルコリラ=8円台まで急落。1日で約20%リラ安となったため、サトコさんのFX口座の証拠金維持率は50%を割り込んでしまう。含み損が一定水準まで達してしまったため、強制的にロスカットとなった。これまでにも南アフリカランドを中心に高金利通貨に投資してきた経験を持つが「こんなに値動きが荒いとは」と反省する。

 21年秋以降、トルコリラの下落が止まらないのは、インフレが進行しているにもかかわらず、トルコ中央銀行が利下げを続けているためだ。もとより重工業を中心とした輸入依存度の高い産業構造を持つトルコは、慢性的な経常赤字国である。外貨需要が大きいため、為替相場はリラ安になりやすい。こうした国外への資金流出を補ってきたのが、観光を中心とするサービス業収入と、海外からの投資だった。

 だが新型コロナウイルスの世界的大流行で観光客は激減。欧米を中心とした海外投資の呼び込みも、軍事面で協力関係にあるロシアと接近する動きを見せるにつれ、細る傾向にあった。

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