中古住宅に不利な内容

 不動産経済研究所が11月18日に発表した首都圏の新築マンション平均販売価格は6750万円となり、バブル末期の1990年の6414万円を超えた。長引く低金利環境が住宅価格を押し上げているほか、マンションデベロッパーが、日本の人口減少などを見越して住宅供給を絞り始めているといった要因が関係している。また、コロナ禍が長期化し、自宅で過ごす時間が増えたことで、住まいを見直す動きが高まったことも、需要増の理由として挙げられる。

 新築住宅の高騰を受け、中古住宅の需要も急増している。東京カンテイ(東京・品川)がまとめた21年10月の中古マンション平均希望売り出し価格(70平方メートル換算)は、首都圏で4360万円と、前月比1.3%増だった。上昇は6カ月間連続だ。

 だが、今回の制度改正で「中古住宅はますます不利になる」(前出の関根氏)という。中古一般住宅の場合、控除率は0.7%に下げられるのみならず、控除期間の3年延長はなく、10年のまま据え置かれたからだ。借入残高の上限は2000万円で変わらない。

 この場合、受けられる控除総額は140万円(年14万円を10年間)。新築の控除総額273万円(年21万円を13年間)と比べて約半分になる。新築の優遇は、景気への影響が大きい住宅産業に配慮した側面が強い。

 70年代以降、日本の住宅供給数は世帯人口に対して多すぎると言われ続けてきた。政府は今後、耐震性や省エネルギー、脱炭素などの性能について一定の要件を満たした住宅の数を増やし、それらをリフォームなどで長く活用していく方向へ政策誘導したいと考えている。事実、今回の住宅ローン改正では、環境性能などの高さに応じて借入残高の上限に差を付けた。一般住宅の3000万円に比べて1000万~2000万円有利になっている。

 だが、高性能な住宅はそもそも価格が高い。住宅価格が歴史的な高値にある今となっては、一般住宅に需要が集中する傾向は大きく変わらないだろう。中古住宅の需要もますます高まることが考えられる。

 改正内容は、新築住宅を作り続ける「フロー型」から、建物を長く活用する「ストック型」への移行が求められている日本の住宅市場の実情に見合ったものであるのだろうか。

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