前回紹介した、リバースモーゲージ型住宅ローンの利用者増加から見えるのは、担保となる住宅の売却を前提として毎月の返済額を軽減するローン商品が支持されているという事実だ。

 かつては「家は一生に一度の大きな買い物」「不動産は子孫に残す」という考え方が当たり前だった。しかし、男性の4人に1人、女性の7人に1人が生涯未婚の時代となった。子どもを持たない世帯も増えている。不動産は今や一代限りの所有物とする捉え方も出始めているといえよう。

 こうした社会の変化を踏まえた住宅ローンも誕生している。新生銀行と「へーベルハウス」ブランドで知られる旭化成ホームズが共同開発した、支払額軽減住宅ローン「新生パワーセレクト」だ。2019年11月に取り扱いを開始したこの商品は、借り入れ元本の一部をローン返済の最終回に一括で返すことで、毎月の返済額を軽減させる住宅ローンだ。

 例えば、7000万円の物件を買うために6500万円を金利1.5%、期間35年で借りるとする。同ローンを使い、6500万円のうち1400万円を最終回に一括返済するとした場合、毎月の支払いは約17万円となる。通常の住宅ローンを使うと毎月約20万円の支払いとなるので、負担を約3万円軽くできる形となる。元金の一部を一括返済する分、毎月の返済部分が少なくなる計算だ。

 最終回の一括返済時には、(1)自宅の売却による完済(住み替え)(2)自己資金による完済(継続居住)(3)80歳まで返済期限を延ばす(継続居住)(4)リバースモーゲージに借り換え(継続居住)、と4つの選択肢が用意されている。

 (1)の売却を希望するも買い手がつかない場合は、旭化成のグループ不動産会社、旭化成不動産レジデンスが一括返済元本と同額で買い取りを保証する仕組みになっている。

 新生銀行住宅ローン部の加藤健太郎氏は開発に至った理由について「一度買った住宅に生涯住み続けるという考え方が変化し始めている。家族構成や身体状況の変化に応じて住み替えたいとするニーズも増えてきた」と話す。とはいえ継続して住み続けるか、住み替えるか、ローン契約時は分からない場合が多い。そのため複数の選択肢を用意し、契約者の負担にならないようにしたのだという。

 もっとも、35年後に担保となる住宅の価値が大きく下がり、最終回に一括返済元本の金額を下回ってしまうと貸し手である新生銀行は損失を被るリスクがある。

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