平均寿命が延びる中、老後資金の不足に直面する人が今後増加するのではないかといわれている。前回触れたように、晩婚化による住宅取得時期の遅れ、住宅価格の上昇、収入の伸び悩みなど様々な要因が重なり、ローンの残債を定年後も抱える人は今後、ますます増えるといわれている。

 現に、住宅ローンの完済時年齢は上昇傾向にある。代表的な住宅ローン「フラット35」利用者のデータによれば、2020年度利用者のローン返済期間は平均で33.1年だった。同年度の利用者平均年齢は40.3歳なので、完済予定年齢は73歳を超える。10年で3年ほど遅くなった計算だ。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 老後における住宅ローンの負担を軽減したい──。そんなニーズに対応できる商品も出始めた。住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供する60歳以上の高齢者を対象にしたリバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」だ。

 これは、持ち家を担保にしてまとまった資金を借り、利息分だけ毎月返済するが、元金は死亡時に担保物件(住宅および土地)を売却することで一括返済する(売却せず、相続人による一括返済も可能)仕組みのローン。通常の住宅ローンのように元金と利息を併せて返済する必要がないため、毎月の支払い負担は軽くなる。実際の金利負担は取扱金融機関にもよるが、3%前後であることが多い。

 借りた資金の用途も、住宅ローンの借り換えのみならず「住宅のリフォーム」「サービス付き高齢者向け住宅への入居一時金」「住宅の建設や購入」「子世帯が住む住宅の建設や購入」と、住まいに関わる資金であれば、広く活用できる仕組みになっている。

[画像のクリックで拡大表示]

 神奈川県に住む斎藤武夫さん(69歳、仮名)は19年、リ・バース60を使って、約600万円残っていた住宅ローンの借り換えをした1人だ。

 60歳の定年退職後も定年後再雇用やアルバイトなどで働きながら毎月6万円ずつローンを返済していたが、いよいよ本格的なリタイア生活に入るのを前に、このまま年金をローンの支払いに使うのは得策ではないと考えた。1500万円ほどの貯蓄でローンを完済する手もあったが、預貯金は病気や介護が必要になった場合に取っておきたいため、新たに借り入れることにした。

続きを読む 2/3 返済額が月6万円→2万円に

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1785文字 / 全文2856文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「武田安恵の「お金の話をしませんか?」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。