(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 ここ数年、1つの高額な不動産を分割、小口化して販売する「不動産小口化商品」が増加している。これは事業者が複数の投資家から資金を集め、その資金を収益不動産の取得・運用に充てるというもの。賃料収入や売却益が出資額に応じて分配される。

 増加の大きな理由として挙げられるのが、出資額を小口化した不動産の売買や賃貸、運用などの事業について定めた「不動産特定共同事業法」の改正だろう。2017年および19年の法改正で事業者の許可基準が緩和されたため、新規事業者が参入しやすくなった。インターネット上で資金を募るクラウドファンディングなど、投資プラットフォームの整備もあり、商品が一気に増えた印象だ。

 国土交通省の資料によれば、20年度の不動産特定共同事業法に基づく案件数は295件と、前年度の220件から1.3倍になった。

 個人の不動産投資に対する根強いニーズの存在も関係している。商品や仕組みなどにもよるが、年間の家賃収入から諸経費を差し引いた金額を、物件価格と購入時の諸経費を足した金額で割った、実質利回りは2~7%のものが多い。この低金利のご時世においては魅力的な水準だ。

 そしてここが重要な部分であるが、相続節税に活用できる。資産を現金ではなく不動産に変えておくことは、古くから節税の常とう手段として知られているが、「任意組合型」と呼ばれる一部の不動産小口化商品でも同様の手法が使える。

 相続財産の中で、土地は時価に比べて低く評価できるルールがある。相続税算出のもととなる路線価は、市場価格に近い公示地価の8割程度で算出される。建物部分に関しては、固定資産税評価額に基づいて評価されるが、賃貸用不動産にすれば、評価額はさらに下げられる。

 こうした資産価値を圧縮する効果に加えて、不動産小口化商品は文字通り「小口」であるため、相続人間での分割も容易になる。分割が難しい現物不動産の相続に比べて「争族」となりにくいのもポイントだろう。

次ページ 「庶民の相続税」ニーズに合致