政府は新型コロナウイルス対策で19都道府県に発令中の緊急事態宣言と8県への「まん延防止等重点措置」を9月30日を期限に全面解除する。10月1日以降も飲食店には営業時間短縮を要請するなど、一定の行動制限は継続するものの、経済活動再開に向けてかじを切る。

全国で緊急事態宣言と重点措置が発動されていない状態は約半年ぶり。今後は、これまで感染拡大の影響で抑制されていた生産活動やモノ・サービスの供給体制がコロナ前の水準にまで回復するかどうか、消費活動が活発化するかがカギをにぎるだろう。日本に先駆けて経済活動が正常化している欧米諸国では、企業の投資増や消費の立ち直りといった需要回復の動きが急速に起こっている。日本でも同様の動きは起こるのだろうか。
これには専門家の間でも見方が分かれている。第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは「日本では欧米と違って、そう簡単に需要は戻らない」と見ている。
主な理由として永濱氏が挙げるのが、経済を回す上での前提条件の相違だ。欧米では、一定水準の新規感染者が発生する中にあっても、重症者数が増加したり、医療体制がひっ迫したりしない限りは行動制限等を課すことなく社会・経済活動を正常化させていく方向にシフトしている。
それに対して日本では、新規感染者数の推移に重きを置いたコロナ対策が続いている。今後も感染者数は増加と減少を繰り返すことが予想されるため、「行動制限が緩和されても慎重な行動を取る人は一定数存在し続けるだろう。需要回復のスピードは鈍いのでは」(永濱氏)。服薬治療が確立され、新型コロナが通常の季節性インフルエンザと同じ程度の感染症として扱われるようにならない限り、人々の消費マインドは大きく変わらないのではと永濱氏は見ている。
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