(写真:イメージマート)
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 個人投資家への説明不足が問題視されていた金融商品「仕組み債」をめぐる金融庁の締め付けが厳しさを増している。2022事務年度(22年7月~23年6月)を迎え、本腰を入れたようだ。「岸田文雄首相の『資産所得倍増計画』が注目される局面で、貯蓄から投資の流れをそぐ商品があってはならないと、早急に対処しようとしている」(大手証券関係者)

 仕組み債は、国債や社債といった普通の債券にスワップやオプションといったデリバティブ(金融派生商品)を組み合わせ、高い金利を実現した商品だ。通常の債券は満期時に事前に決められた条件での償還金と利子が得られるが、仕組み債はデリバティブの値動きによって手元に戻る金額が変わる。一般的に債券は株式よりもリスク・リターンが低いといわれるが仕組み債の場合「債券」という名の付いたハイリスク商品と捉えた方がよい。

 8月に発表された22事務年度金融行政方針では、仕組み債を扱う金融機関に、必要に応じて販売実態に関するヒアリングを実施すると盛り込んだ。複数の関係者によれば、仕組み債を供給する外資系投資銀行にも調査が入るようだ。

 締め付け強化の背景には、株価下落局面でトラブルが増加傾向となっている点が関係している。商品の仕組みをきちんと理解しないで購入する投資家が多いことが苦情の増加でより一層鮮明になった。金融庁の調査では、3カ月で元本の約8割を失ったものもあったという。

 金融商品取引のトラブルを公正・中立な立場で解決する金融ADR機関、証券・金融商品あっせん相談センターが21年1月から22年3月に扱った事案146件のうち、約3分の1に相当する48件が仕組み債に関するものだった。特に、相続や退職金受け取りなどのタイミングで金融機関の勧誘を受けた投資初心者が、トラブルに巻き込まれるケースが目立つ。

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