6月7日に政府が発表した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の中にある「資産所得倍増プラン」の実現性が話題となっている。骨太方針では、新しい資本主義を実現するための重点投資分野が掲げられているが、資産所得倍増プランは「人への投資と分配」の中に盛り込まれている。家計金融資産2000兆円を貯蓄から投資に回すのが狙いで、少額投資非課税制度(NISA)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の拡充・改革などで実現を目指すという。

岸田首相は「資産所得倍増プラン」を英ロンドンの金融街シティーでの講演で披露した(写真:ロイター/アフロ)
岸田首相は「資産所得倍増プラン」を英ロンドンの金融街シティーでの講演で披露した(写真:ロイター/アフロ)

 なぜ、貯蓄から投資の流れを強化する施策が「人への投資と分配」になるのか。理由は主に2つある。1つは、国民が賃金以外の収入を得る手段を広げれば、所得が増える可能性が高まるということ。もう1つは、企業の成長が家計への分配につながりやすくなることだ。足元10.5%といわれる、家計の株式保有率が高まれば、企業業績に連動する形で、株の値上がり益や配当を得る人が増える。

 企業が収益をどれだけ賃金に回しているかを示す労働分配率は2020年度、50.7%(2021年経済産業省企業活動基本調査・速報版)と低い状態が続いている。政府は一定以上賃上げした企業の法人税を優遇するなどの施策を続けているが、景気の先行き見通しが不安な中でなかなか賃上げは進まない。ならば違う形で成長の果実を家計に行き渡らせようと考えたのだろう。

 昨年の自民総裁選の頃から「令和版所得倍増」を打ち出すなど「倍増」にこだわってきた岸田文雄首相。所得の中身を「賃金」から「金融資産」にくら替えすることで、「所得倍増」という最終目標を達成しようとしている。

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