「当社ソーシャルレンディング事業の継続は困難と判断し、本日付の当社取締役会において、全既存ファンドの償還を条件として、自主的な廃業および同事業からの撤退を決定いたしました」

 5月24日、ソーシャルレンディング業界最大手のSBIソーシャルレンディング(SBISL)は、ウェブサイトにてソーシャルレンディング事業から撤退することを発表した。同社は今年はじめ、融資先が貸付金を事前の計画通りに使用していなかったにもかかわらず、資金使途の確認義務などを怠っていた問題が発覚。4月下旬に公表された第三者委員会による報告書では、ずさんな業務実態が明らかになっていた。金融庁は近く、SBISLに行政処分を出す予定だ。

 ソーシャルレンディングは「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれるクラウドファンディングの1つ。運営事業者がインターネットを通じて個人投資家から広く資金を集め、それを企業などに貸し出す仕組みだ。1口1万円というように、小口で投資できるものも多い。

(写真:Shutterstock)

 日本では2008年に始まり、銀行を介さない資金調達手法として話題を集めた。資金の借り手は不動産会社や、太陽光など再生可能エネルギーの関連企業が多目立つ。

 投資家は事業者が募集時に公表したスケジュールに従い、投資期間中は元本に対して5~10%程度の利息を「分配金」という形で定期的に受け取る。スマートフォンで簡単に始められるものもあり、30~40代を中心に支持を集めてきた。富士キメラ総研は、18年に1280億円だった市場規模は20年に約2000億円となり、23年には4000億円を超えると予測する。

 12年からソーシャルレンディングを始めたサラリーマン個人投資家のSALLOWさん(京都在住、40代)は「日々の値動きに一喜一憂する必要がないのが魅力」と話す。ソーシャルレンディングは株式投資やFX(外国為替証拠金)取引のような主に値動きで利益を得る「キャピタルゲイン投資」ではなく、利息により利益を得る「インカムゲイン投資」だ。同じファンドに投資すれば、誰もが同じリターンが得られる。

 「売買のタイミングで利益が変わるようなこともないので、経験の差がリターンの差につながりにくい」。SALLOWさんは、ソーシャルレンディングが投資初心者でも始めやすい理由をこう分析する。

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