ソフトバンクグループ(SBG)は5月19日、個人向け社債を2年ぶりに発行すると発表した。劣後債で、発行額は4050億円、年限は35年、利率は当初5年固定で、5年後以降に変動する。利率の仮条件は2.45~3.05%となっている。

 SBGの個人向け社債は利率が高く、個人投資家の間では人気の運用商品だ。4050億円と発行規模が比較的大きいのも、個人からの引き合いは強いと踏んでいるからだろう。機関投資家向けの発行が多い劣後債を、早くから個人向けに発行している点も大きな特徴といえる。SBGは2016年にも個人向けに劣後債を発行している。今回発行する劣後債による調達資金の使途は、16年に発行したものの借り換え等に充てられる。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 劣後債とは、普通の社債より元本および利息の支払い順位が低いために、その分、利率が通常よりも高い債券のこと。償還までの期間は長く、30年超の長期債や永久債なども少なくない。もっとも「期限前償還条項」という、発行時に決められた最初のタイミングで、発行体の企業が元本を返してしまう権利(ファーストコール)が付いているケースがほとんどだ。ファーストコールは5年目の利払い日に設定されているものが多いが、7年目や10年目の利払い日に定めるものもある。

 国内で発行された劣後債は今のところ、ほぼファーストコールで償還されていることから「長期債だが実態は期間5~10年程度の債券」(生保運用担当者)と捉える投資家も多いようだ。ただし、償還を先送りできる権利は発行企業にある。発行企業が資金繰りに窮したり、市場環境に変化が起こったりするなどの変化があれば、期日前償還をやめる可能性が出てくるだろう。投資家にとってはより条件の良い投資先に乗り換える機会を失ったり、換金できないリスクに見舞われたりすることとなる。

 なぜSBGは個人向け社債を普通社債ではなく劣後債で発行するのだろうか。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り994文字 / 全文1795文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「武田安恵の「お金の話をしませんか?」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。