年収がどのくらいあれば「出世」?

 こうした環境を踏まえる形で、提言では給付型奨学金の対象を拡大するとした。住民税非課税もしくは保護者の世帯年収380万円未満から、600万円以下の中間層まで広げることが明記された。貸与型に関しては、学生が就職後、一定の年収に達した段階から返済を開始する「出世払い奨学金」の創設などが盛り込まれた。

 現在の奨学金の仕組みでは、そのほとんどが貸与終了の翌月から数えて7カ月目に返済が始まる仕組みだが、ライフイベントに応じた柔軟な返還の仕組みをつくろうということで「出世払い」というキャッチーなネーミングが付けられた。まず修士課程で先行導入し、うまくいけば学部生にも拡充していく方針だという。

 

 出世払い奨学金の制度を導入するに当たり、成否の鍵を握るポイントはどこにあるのか。何よりも重要なのが何をもって「出世」とするのか、すなわち返済開始となる所得水準の目安だ。詳細な制度設計はこれから文科省を中心に行われるが、今のところ「年収300万円以上」に達した段階で返済開始とする案が検討されている。

 ここで1つ疑問がある。果たして年収300万円は「出世」といえるのだろうか。

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