「個人向け国債」の金利が2022年に入り、じわじわと上がり始めている。世界的なインフレ圧力の高まりで日本の国債市場も金利が上がりやすくなっており、個人向け国債の金利を決める際に用いられる基準金利に影響を与えているためだ。

 「10年変動」タイプの金利は22年2月募集分から6年ぶりに年0.1%を超え、4月募集分は年0.13%だった。メガバンクの10年定期預金の年0.002%を大きく上回っている。安全性が高く、かつインフレに強い投資先として評価される可能性が出てきた。

 個人向け国債は、国債の安定消化を図ることを目的に、03年から発行されている。満期まで同じ金利が適用される固定金利型(3年、5年)と、市場で売買される国債(新発10年債)の利回りに応じて半年ごとに金利が見直される変動金利型(10年)の3種類がある。利子および元本は国が保証する。このため、元本割れのリスクがほとんどない商品と見なされている。満期前の中途解約に関しても柔軟な仕組みになっている。発行後1年たてば可能で、その場合は直近2回分の利子相当分を差し引いた額が戻ってくる。

財務省の個人向け国債ウェブサイト
財務省の個人向け国債ウェブサイト

 最低でも年0.05%の金利を国が保証している点も特徴だ。とりわけ16年に日銀がマイナス金利を導入して以降は市場金利が落ち込んだため、金利は年0.05%に張り付いたままだった。だがここにきて変動10年タイプの金利に変化が見え始めている。22年1月募集分は0.07%、2月0.11%、3月0.12%、4月0.13%と上昇しているのだ。

 変動10年タイプの金利が上がり始めているのを受け、22年以降の発行額も、3000億円台を突破する月が目立ってきた。だが、新型コロナウイルス禍前の水準、月あたり4000億~6000億円台の水準には及ばない。なぜか。

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