トヨタの思い、個人投資家に届くか

 利率の低さは、トヨタが持つ信用力の高さ以外にも、資金使途をSDGsに絞っている点も関係しているといえそうだ。一般にESG(環境・社会・統治)やSDGsに関わる用途で発行される社債は、機関投資家からの引き合いが強いため、発行体にとって有利な条件が設定しやすく金利は低くなりがちだ。

 機関投資家がこうした商品を積極的に買うのは、社会貢献につながる事業に関わることが、社会的信用の獲得につながる側面もあるからだ。

 ただ、こうしたコンセプトが個人に浸透するかは分からない。大橋アナリストは「利回り追求のみにこだわらない、社会的な目的で投資したいと考える個人投資家層をどれだけ開拓できるかが焦点になるだろう」と話す。

 今回の動きを「多様な資金調達の可能性を模索する実験的な取り組みでは」と考えるのは三菱UFJモルガン・スタンレー証券の杉本浩一シニアアナリストだ。トヨタは15年、元本保証型で譲渡制限が付き、段階的に配当が引き上げられる総額4991億円の「AA型種類株」を個人向けに発行し話題を集めた。同株式は20年12月に消却されることが決まったが、今回のウーブン・プラネット債も個人を安定的なステークホルダーとして重視する考えを反映しているのかもしれない。トヨタの思いは個人投資家に届くだろうか。

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