新型コロナウイルスの感染拡大による金融市場の混乱が収まらない。米国で初めて死者が出るなど、感染者が欧米で増加する動きが顕著になってきたことが一因だ。

 米株式市場では、ダウ工業株30種平均が7日連続で続落し、2万5409ドル36セントと、19年6月4日以来の安値を付けた。週間ベースの下落幅は3500ドル超となり、08年10月のリーマン・ショック直後に付けた1874ドル(08年10月6~10日)を上回るという。これまで堅調だった米国市場が崩れたことで、世界の株式市場では、依然荒い値動きが続いている。

 世界の中央銀行は事態の収拾に乗り出した。米国ではパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が「経済を支えるため、政策手段を用いて適切に行動する」との緊急声明を発表。利下げを検討する方針を示唆した。

 日本銀行もFRBの動きに続く形で3月2日午前、「適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努める」との緊急談話を発表した。日銀が緊急談話を発表するのは英国の欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票で離脱派が多数となった16年6月以来のことだ。

 「メッセージを出す形でひとまず株安の連鎖を鎮めた形だ。狙い通りの効果は出たと思う」。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は、今回の「異例談話」についてこう評価する。

日本銀行の「異例談話」を受けて、日経平均株価は3月2日午前、一時値上がりした(写真:共同通信)
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