(写真=AP/アフロ)
(写真=AP/アフロ)

 ロシアのウクライナ侵攻後、世界各国はロシアに対する経済制裁を相次いで打ち出した。ロシア市場へのアクセスは事実上遮断されたため、ロシア株式や債券の売買はできなくなってしまった。これを受け、ロシア関連資産を組み入れた投資信託は、2022年3月以降、順次買い付けや解約の申し込み受け付けが停止している。その状況は今でも変わっていない。

 投信を運用する資産運用会社は、すべての投資家を公平に扱う必要があるため、仮に解約が殺到した場合でも、全員分の資産を換金できる状態にしておく必要がある。よって保有資産の売却が難しくなると判断した場合は、解約に制限をかける。

 現在、多くのロシア株投信の保有者は、ファンドを換金できない状況だ。海外株に投資する際は「買いたいときに買えて、売りたいときに売れる」流動性が必ずしも担保されないことを、多くの投資家が認識したといえるだろう。

 03年、米ゴールドマン・サックスはブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を、50年には国内総生産(GDP)ベースで世界の上位6カ国に入ると予測し、4カ国の頭文字を合わせて「BRICs(ブリックス)」と呼んだ。これを受け、資産運用業界ではBRICs関連の投信の設定が相次ぎ、ロシア株ファンドも数多く立ち上がった。原油や天然ガスなど、エネルギー資源が豊富な点に引き付けられ、それらを組み入れた投信を買った投資家も少なくなかった。

 ロシア株投信はロシアのウクライナ侵攻前、原油価格の高騰によるエネルギー関連株の高いパフォーマンスもあって、基準価額は1万円を超えているものが大半だった。だが22年2月に地政学的緊張が著しく高まると、多くのファンドが資産を売却しキャッシュ比率を引き上げ始めたため、基準価額は下がり始める。3月に入ると、組み入れ銘柄の売買はできなくなってしまった。現在、多くのロシア株投信が1000円を下回る基準価額となっている。

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