(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 投資家が金融機関にまとまった資金を預け、投資信託で運用するファンドラップの契約件数が伸びている。背景にあるのが、金融機関の投信販売方法の変化だ。売買を繰り返して手数料収入を得るのではなく、運用資産残高に応じて手数料収入を得る資産管理型ビジネスに注力する金融機関が増加する中で、ファンドラップがその中心に据えられるようになった。

 ファンドラップは顧客が金融機関に運用を一任するサービスだ。ニーズに合わせる形で複数の投信を組み入れて運用する「お任せ運用」であるため、顧客は自分で資産管理する手間が省ける。一方、販売・運用する金融機関にとっては顧客の運用資産が増えれば報酬も増えるため、資産を増やそうとするインセンティブが働きやすい。

 金融庁の「資産運用業高度化プログレスレポート2021」によれば、2010年には10万件にも満たなかったファンドラップの契約件数は14年ごろから増え始め、20年3月には100万件を超えている。契約金額も約10兆円を超えた。件数の増加は、金融庁が投資信託の販売方法に対して「顧客本位の業務運営」を求め始めた頃とちょうど重なる。

 サービス開始当初のファンドラップは最低預入金額が300万~500万円、中には1000万円以上のコースもあり、富裕層向けのイメージが強かった。だが10年代に入ると、AI(人工知能)やフィンテックといった技術が発達し、過去のデータなどから顧客に最適なポートフォリオを提案、売買も自動で行ってくれるロボアドバイザー(ロボアド)も出始めた。

 運用の自動化でコストも下がったほか、積み立て投資に対応できるなど運用金額の小口化も進み、資産形成層向けにも投資一任サービスは普及していった。最近では、ロボアドを使った運用に対面型の資産運用コンサルティングサービスを組み合わせて付加価値を高める、ハイブリッド型サービスも生まれている。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2158文字 / 全文2959文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「武田安恵の「お金の話をしませんか?」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。