緊急事態が宣言された1月7日夜、東京・新橋の繁華街(写真:竹井俊晴)
緊急事態が宣言された1月7日夜、東京・新橋の繁華街(写真:竹井俊晴)

 「飲食店は悪者です。(東京都知事の小池)百合子さんに怒られないように、静かに静かにしていなければさらし者になるのです」──。

 東京・お茶の水でワインバーを営む店主は、年明け以降気持ちがすさんでいく一方だと嘆く。昨年から東京都の時短営業要請に応じ、夜は午後10時に店を閉めていた。だが1月7日からの緊急事態宣言を受けて、8日からは午後8時閉店となる。「できることは神頼みしかない」と、前日に近くの神田明神に出向いて店の存続を祈願してきたところだ。

 2021年に入っても新規コロナウイルスの新規感染者数の増加ペースが加速しているのを受け、国は首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言を再発令した。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が、飲食店での会食が感染対策の「急所」であるとの提言を受け、飲食店を集中的にターゲットにする形を取った。

 飲食店等を対象に午後8時までの営業時間短縮を要請。応じた店舗には自治体が協力金を1日最大6万円支払う。応じない場合は時短を指示し、店名を公表するなどの措置も取るという。

 この「1日6万円」という金額は、飲食店にとってどれほどのインパクトなのか。大和証券のシニア財政・クレジットアナリストの浜田浩史氏が、総務省・経済産業省の「平成28年経済センサス-活動調査」のデータを使った興味深い考察をしている。

 データによれば、1都3県の飲食店の1事業所当たりの日商は平均12.6万円だという。1店舗当たりではなく、1事業所(東京都の1事業所当たりの店舗数は平均で1.7)であることを勘案する必要はあるものの、6万円は毎日の売上高の約半分と考えてよいだろう。浜田氏は「飲食店は一般的に原価が3割。人件費と家賃と利益が7割と考えると、店によってはもう一声といったところではないだろうか」と話す。

 早くも時短要請に応じない動きは出始めている。「協力金を受け取った方が得か、逆らってでも午後8時以降も営業を続けた方が得か」損得勘定が働いているといえよう。小規模店のみならず、和食やイタリアンなど、さまざまな業態のレストランをチェーン展開する東証2部上場のグローバルダイニングが午後8時までの営業では「事業の維持、雇用の維持は無理」であるとし、緊急事態宣言後も通常営業する方針を表明している。

 日本総研の山田久副理事長は「6万円は小規模の個人店舗にとってはもらい過ぎの所もある一方で、規模のある店舗には全然足りない金額。本来ならば一律給付でなく売上高に連動する形の給付である方が不公平感は少なかったのでは」と話す。

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