2022年の日本株は、幸先の良いスタートとなった。1月4日、年明け最初の取引となる東京証券取引所の大発会では、日経平均株価が年末と比べて500円以上値上がり、2万9301円で取引を終えた。大発会での値上がりは18年以来、4年ぶりのことだ。

 だが2日後、楽観ムードは一変。日経平均株価は前日比844円安の2万8487円まで急落する。21年6月21日につけた953円に次ぐ下落幅となった。

1月6日、日経平均株価は前日比844円の大幅安となった(写真:共同通信)
1月6日、日経平均株価は前日比844円の大幅安となった(写真:共同通信)

 日本株の振れ幅が大きくなっているのは、言うまでもなく米国市場の動きに左右されているからだ。米国株は1月3日、4日とダウ工業株30種平均が過去最高値を更新、3万6799ドル65セントまで上昇した。だが5日午後、21年12月14日ー15日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が出ると、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の正常化ペースを速めるとの観測が高まり、売りムードとなった。ダウ平均の下落率こそ約1%にとどまったが、ハイテク株が大きく値下がりした。

 ハイテク株の下落には、緩和政策の終了早期化に伴う金利上昇懸念が大きく影響している。足元の業績よりも遠い将来の利益成長を「買う」ハイテク株の場合、投資家は理論上の適正株価を参考に投資判断する。適正株価の算出は、将来のフリーキャッシュフローを現在価値に割り戻した値がベースになるが、この現在価値に割り戻す際の割引率が、金利が上昇すると大きくなる。そのためハイテク株の企業価値が目減りし、理論株価は下落してしまう。成長期待の高い、割高な高PER(株価収益率)銘柄ほど、売られやすくなる。

 ハイテク株は、21年の米国株上昇のけん引役だった。それだけに、テーパリング(量的緩和縮小)加速、そしてその次のステップにある利上げ時期の前倒しは米国株にとって大きなマイナス要因となる。加えて、今回のFOMCでは、FRBのバランスシート縮小開始のタイミングについても議論されたことが明らかになった。「利上げ開始後の比較的早い段階でバランスシートの縮小を始めるのが適切」との意見があったという。これは、市場には織り込まれていない話であった。

 前回の金融引き締め局面では、15年12月の利上げ開始後約2年後の17年10月にバランスシート縮小が始まっていたからだ。そのためバランスシート縮小のタイミングまで早まるのではと、市場は警戒感を強める格好となった。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「22年は米国の金融政策の動向に市場が大きく振り回される年になりそうだ」と話す。

 それは米国株の動きに翻弄されやすい日本株とて同じだろう。間違いなく日本株の上値を抑える要因となる。1月6日の日本株は、早くもその傾向を見せた。

 もっとも、こうした市場の動揺は21年の春頃にも見られたものだ。FRBのパウエル議長がテーパリング開始を示唆した際も長期金利は上昇し、市場は大きく下げた。だがパウエル議長が21年3月に「インフレは一時的なものにすぎない」などと急激な金融引き締めをけん制すると、市場は徐々に落ち着きを取り戻した。FRBはこうした市場との「対話」を積み重ねることで緩和縮小スタートを徐々に市場に織り込ませ、テーパリング開始へと舵(かじ)を切ったのである。

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