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 2021年の日本経済は引き続き、じわじわと体力を奪われる状態が続きそうだ。1月7日に首都圏の1都3県を対象にした緊急事態宣言が発令されれば、企業業績へのダメージは避けられない。SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは、首都圏で1カ月間の宣言が発令されれば、上場企業の営業利益は最大で約5%減少すると試算する。

 個人消費も消失するだろう。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、緊急事態宣言により不要不急の消費が失われると仮定した場合、約4.89兆円分消費が減少すると考える。

 これは日本の1年間の国内総生産(GDP)を0.88%押し下げるインパクトがある。木内氏は「緊急事態宣言の対象区域が1都3県にとどまる分、影響は昨年春の緊急事態宣言時ほどではないが、企業の破綻、廃業などにはより大きな影響を与えるのではないか」と考える。今まで何とか持ちこたえてきた企業でも、再度の感染拡大に耐えきれない状態に陥るというのだ。

 緊急事態宣言の再発令がもたらすマクロ経済へのインパクトについては悲観的な数字が並ぶものの、現時点では株式市場への影響は限定的と見る向きが多い。1月4日の日経平均株価は、緊急事態宣言に対する懸念から一時400円以上下げる場面が見られるも、心理的な節目となる2万7000円近辺になると買いが入る場面が見られた。昨年の緊急事態宣言の発令時と違って、ワクチンの接種ももうすぐ始まる。下値は意外と底堅いと考えている投資家は多いようだ。

 マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストも、緊急事態宣言再発令は相場の悪材料にならないと考える。「前回緊急事態宣言が出された昨年4月上旬から解除された5月下旬まで、日本株は上昇基調をたどっていた。緊急事態宣言による経済停滞は痛みだが、思い切った措置により感染拡大を封じ込めることへの期待が市場の支えとなっている」と話す。

 このような実体経済と金融市場がかい離している状態は、日本のみならず世界的な傾向であり、昨年から指摘され続けてきたことだ。「資産バブル」と呼ぶ専門家も出始めている。