新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は4月16日、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大することを決めた。休校が続く教育の現場ではオンライン学習への転換を迫られているが、自治体や学校により導入に差が出ている。
東京にある私立の中高一貫校に勤める50代の教諭は、初めて実施するオンライン授業への対応に追われている。同校では、政府が7都府県を対象に緊急事態宣言を発令した4月上旬以降、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って教員会議を実施。オンライン授業に向けた準備を進めてきた。
4月18日にオンライン授業を開始。授業は3クラス合同で行うため、出席する生徒は100人を超える。生徒が授業を受けるために使う端末もパソコンやタブレット、スマホなど様々。通信環境によっては授業中に回線が切れることも想定される。
多くの企業が在宅勤務に切り替えている、生徒の父母が授業を「参観」することも考えられる。こうした状況の中で、どうすれば授業内容を理解してもらえるのか。頭を悩ませながら、手探りで進めている。
様々な課題がありながらもオンライン授業に踏み切った学校はまだ先進的と言えるかもしれない。自治体などにもよるが、オンライン授業の導入は一部にとどまっているのが実態だ。自宅での学習では家庭ごとに取り組み状況が異なるため、休校措置が長期化すれば「教育格差」が生まれる可能性もある。
こうした中で、注目されるのがAI(人工知能)を利用した教材の活用だ。AIが一人ひとりの生徒に合った学習内容を選んでくれるもので、すでに学習塾や一部の学校で普及が始まっている。
例えば、COMPASS(東京・品川)は、生徒の習熟度に合わせて最適な問題を出題するAI型タブレット教材「Qubena(キュビナ)」と、自宅でも学習が可能な「Qubena Wiz Lite(キュビナ・ウィズ・ライト)」を提供している。AIが生徒の得意・不得意を分析し、その生徒が今解くべき問題を出すのが特徴だという。全国の公立・私立の小中学校・高等学校100校以上で利用され、ユーザー数は2万5000人に達する。

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