パナソニックは11月13日、2021年6月24日付で津賀一宏社長が代表権のない会長に退き、楠見雄規常務執行役員が社長に昇格する人事を発表した。同社の社長人事が内定するのは通例なら2月下旬。交代まで半年以上を残すタイミングで人事を内定したのはなぜか。

パナソニックは11月13日、津賀一宏氏(写真左)から楠見雄規氏(右)への社長交代人事を発表した(写真:共同通信)
パナソニックは11月13日、津賀一宏氏(写真左)から楠見雄規氏(右)への社長交代人事を発表した(写真:共同通信)

 「収益を伴う成長をやり遂げたかったが、それは簡単ではなかった」。パナソニックが社長人事を発表した会見で、津賀氏は在任期間を振り返りながらこう悔やんだ。

 8年半にわたりパナソニックを率いてきた津賀氏が社長に就任したのは、パナソニックが2年連続で7500億円以上の最終赤字を計上したタイミング。プラズマテレビなど赤字事業の撤退や資産売却などで赤字体質から脱却し、3年目までは順調にみえた。ところが、その後は収益が伸び悩む状況が続いた。電池など自動車部品を手掛ける車載関連事業を成長の柱に据えたものの、成長路線には乗せられなかった(「津賀社長が語ったパナソニックの現在地と未来図」を参照)。

 内向きな社風の変革を狙った津賀氏は、日本マイクロソフト会長だった樋口泰行氏や著名アナリストの片山栄一氏を招くなど、外部人材の採用を積極的に進めた。育児休暇の取得後に復帰した女性社員が「違う会社に来たかと思った」と語っていたほど、社内の雰囲気は変わった。それでも、会社全体の収益力向上にはなかなか結びつかない。車載関連事業では、したたかな欧州の自動車メーカーを相手に能力以上の開発を引き受けてしまい、費用が増大する事態にも陥った。

 成長路線への転換を遂げられずにもがき苦しんだ津賀氏が引き際に決断したのが、通例よりも約4カ月も早い社長交代人事だった。正式交代する2021年6月まで半年以上も任期を残したまま発表する異例の前倒しとなった。

「さまざまなことを決める必要がある」

 津賀氏は会見で「新たな経営体制に移行するため、さまざまなことを決める必要がある」と説明。引き継ぎ期間を長くすることによって、35以上もの事業を抱えるパナソニックの経営の難しさや進むべき方向性を確実に新社長の楠見氏に伝え、共に議論する狙いがある。

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