パナソニックは8月1日から冷蔵庫など80品目近い家電製品の出荷価格を順次、引き上げ始めた。値上げを下支えするのが、家電量販店が値下げする原資となってきた販売奨励金の削減だ。小売りから価格の決定権を取り返す試みとして一石を投じた格好で、家電メーカーに同じ動きが広がる可能性がある。

 パナソニックが値上げの対象とするのは冷蔵庫や電子レンジ、電話機、ポータブルテレビなどで価格改定率は3~23%となる。銅やアルミなど原材料の価格上昇、半導体など部材の調達費用増加が主な背景になっている。上昇したコストを価格に転嫁する。

パナソニックは約80品目の家電を3~23%値上げする(写真:ロイター/アフロ)
パナソニックは約80品目の家電を3~23%値上げする(写真:ロイター/アフロ)

 原材料価格が高騰するなかで取り組むのが、量販店との商慣習の見直しだ。

 従来、量販店に値引き販売の原資となる奨励金を渡していた。量販店が在庫を持ち、売り切る財源になっていた。これを改め、量販店からの在庫をパナソニックが引き取り、奨励金は減らす。系列の家電店「パナショップ」は値下げで売り切る手法ではないため、奨励金削減の対象にはならない。

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