パナソニックが2021年3月期通期の業績見通しを上方修正した。家電の販売が堅調で、車載機器の需要が想定よりも早く回復した。ただし、売上高・利益ともに前年の水準は下回る。持続的な成長に転じるためにも、かつて津賀一宏社長が「モグラたたき」と表現した不採算事業の見極めが不可欠だ。

 「経営体質の強化が進んできた。コロナの影響がなかったと仮定すれば営業利益率も5%の水準に近づいている」

 2月2日にパナソニックが開いた20年4~12月期の決算会見。業績について「満足できる水準か」と問われた梅田博和常務執行役員CFO(最高財務責任者)は前向きに語った。21年3月期通期の業績見通しを同日に上方修正し、売上高を6兆6000億円(20年7月予想比1.5%増)、営業利益を2300億円(同53.3%増)、純利益を1500億円(同50.0%増)とした。国内での家電販売が堅調だったほか、車載機器の需要が想定よりも早く回復したとする。

 米テスラ向けに供給する円筒形車載電池は、EV(電気自動車)「モデル3」の販売好調にけん引されて生産量が増加している。20年4~6月期は新型コロナウイルスの感染拡大による生産活動の停滞で赤字だったが、次の7~9月期に黒字に転換。10~12月期には2ケタ億円の営業利益を確保した。通期でも初めて黒字になる見通しだ。梅田氏は「数量の増加でコストダウンできた。(歩留まり改善といった)ロスの低減も進んだ」と改善の理由を説明した。

 7月時点の見通しからの上方修正は、外部環境の変化に助けられた側面がある。冷蔵庫や洗濯機、調理家電などは「家の環境を充実させることへの関心が高まった」(梅田氏)影響で堅調に推移。新型コロナウイルスの感染を防ぎたいというニーズから空気清浄機も好調だ。次亜塩素酸を活用した空間除菌脱臭機「ジアイーノ」は、前の期に約40億円だった売上高が21年3月期通期には約130億円になると見込む。構造改革中のテレビ事業も、高画質で大画面の機種の販売が増えて黒字転換が視野に入った。

 とはいえ、全社で見れば20年3月期通期からの落ち込みは大きい。売上高は11.9%減、営業利益は21.7%減だ。

太陽電池生産の撤退を決定

 決算会見の前日、パナソニックは赤字が続いていた事業の撤退を発表した。11年に完全子会社化した旧・三洋電機の「HIT」ブランドを源流とする太陽電池の生産だ。

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